『リリカルな○はでズブリ』体験版βバージョン
その1
脳味噌がいましたとさ。
『どうかしたのか?』
『この命令に適任なのは君だけしかいないのだがね』
『そうだ、君こそが相応しい』
薄暗い部屋の中で3つのシリンダーに入っている脳味噌。
どこからか響いてくる声で俺に確認を取ってきている。
正直何の事か分からないが、流れ的に承諾しておいた方が良いのだろうか?
「分かりました、お任せください!」
『うむ、期待しておるぞ』
『必用な事は、そこに置いてあるデバイスに記録されている』
『君の活躍に期待している』
期待通りの返事に満足したのか、微かに付いていた照明が消えて完全な暗闇になる。
ここにいてもどうしようもないので、さっさと退出。
廊下の窓から差し込んできている日の光に眼を攻撃されながら現状を確認する為に記憶を探っていくと、どうやらこの世界は高度な工学兵器で治安を守っている世界の様で、その中心にいるのが時空管理局。
そう、かの有名な『魔法少女リリカルな○は』に出てくる時空管理局である。
さらに記憶を辿っていくと、俺はエースとは行かないまでも愚直な仕事ぶりと管理局に対する忠誠心が高いと言う事で上層部のみならず、立場が近い上司や同僚から評価されているらしい。
ところが内面は自分の生活と安全さえ守られているのならば、他は心底どうでも良いと思っていた様だ。
今この身体に入っている俺とは少し違うと言う所に異世界の特異点を感じる。
そして今回、外面の良い俺に管理外世界からやってきた人間の忠誠心向上をさせろという命令が与えられた。
知識の通りにデバイスを起動させて確認すると、出てきたのは元の世界で見た『魔法少女リリカルな○は ストライカーズ』の登場人物達が映し出される。
詳細な手順は書いておらず期限は半年である事、機動六課の隊員には予め頭にマイクロチップが埋め込まれていてキーワードを言うとデバイスを含めて催眠状態にする事が出来る旨と、そのキーワード。
そして注意事項として、あまりにも本人の意思や考え方から逸脱した物を暗示として掛けようとすると、自我の崩壊を防ぐ為に警告が発せられると記されていた。
キーワードは全員同じで眼を覚まさせる時に催眠状態にされた事、言われた記憶はマイクロチップが自動的に封印して暗示内容だけが残る仕様。
俺は海の上層部から派遣された形になっており、機動六課には怪しまれる事は無いだろうとも書かれている。
最後の欄には御丁寧にも、『君が持っている管理局に対する忠誠心を、そのまま脳に叩き込んでやってくれ』とのメッセージまで書かれていた。
調教内容を任せられる程に信用されているのか。
とりあえずは記憶にあった自分の仕事場へ戻れば、上司に呼び出されて移動の辞令を渡される。
同僚に別れを惜しまれても完全な初対面であった俺に何の干渉も沸かなかったのはしょうがないだろう。
一応は角が立たない程度に社交辞令を言って周り、この世界の俺が10年ほど勤めた職場を後にした。
2日程の休暇で手続きやら引越しやらをこなして、いよいよ機動六課が入っている扉の前に到着。
少しの緊張と共にノックをすれば、中から聞き覚えのある関西弁が帰ってくる。
「入ってええよ」
「失礼します!」
部屋の中にはアニメで見たメインキャラクター達、洗脳を施す事になる人物達が出迎えてくれた。
高レベルな美少女達が揃っているのは壮観で、この人物達の身体を含めて心から好き勝手に出来ると改めて認識すると顔がにやけそうになる。
「本日から機動六課に配属されました――」
「あ、ええよ 名前はわかっとるから」
「…………」
「主はやて、それは流石に……」
「ええねんて、この部署はアットホームな雰囲気を目指してんねんから」
せっかく考えてきた自己PRが遮られてしまった。
シグナムの言う通りに形式だけでも黙って聞いておく場面ではなかろうかと思う。
そんな考えを他所に隊長殿は隊員を紹介していく。
正直に言って前世の記憶とデバイスの前情報があったから、今更な感じがしてしまって全く聞いていなかった。
考えてみると六課の主要な隊員が揃っているのは意外に稀ではないだろうか。
原作でも各人は色んな所に飛び回っていた記憶があるので、この機会を逃すと次に隊員が一同に介すのはいつになるか分からない。
ちょうど良いので催眠状態にするキーワードの効果を検証する事にした。
「――――――――」
「以上が機動ろっか…………」
俺が放った言葉を聞くや否や、意気揚々と隊員を紹介していた八神はやての表情と言葉から力が瞬時に抜ける。
他の人物を見回しても例外無く表情が消えていた。
「八神隊長、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です……」
声を掛けても帰ってくるのは意思が感じられない返事だけ。
刺激に対してはどうかと目に付いたフェイト・テスタロッサの胸を触っても、強く揉んでも眉一つ動かさない所を見ると、かなり深い深度の催眠状態になっているみたいだ。
デバイスであるリインフォースツヴァイを見ても虚ろな表情で浮かんでいるので、ちゃんと設定できているのだろう。
この状態で何か暗示を掛ければ、洗脳出来る手筈になっている。
事細かく言えば詳細なコントロールが出来るだろうが、曖昧な指示にはどこまで柔軟に対応できるのかも調べないといけない。
これはマイクロチップに期待するしかないだろう。
そして催眠時の記憶が封印されるとは言っても、必ず出来てしまう本人に取っては空白の時間に対する対応を考える必要があるが、これはデバイスの記録に残されない程度の用事をしていた記憶を上書きすれば良いかもしれないから、後で試してみよう。
上手くいったら今後はこの方法で記憶の補填をして貰おう。
流石にここで全員を犯すのは無理があるだろうから、軽く味見をするぐらいに留めておく。
いつもで洗脳装置を使えるのだから催眠状態で蹂躙するのは少々情緒が無いと思い、顔合わせのシチュエーションを有効に使わせて貰う。
そうと決まれば早速、記念すべき初めての暗示を掛けていく。
「この部隊では上層部からの命令で異動して来た男には握手代わりに、はだけさせた胸を揉ませるのが一般常識だ」
「………………」
意思がある状態なら一蹴どころか訴えられそうな暗示を掛けてみる。
一番大事なのは『一般常識』として認識させている事だ。
もし『部隊内の決まり』など一部の範囲内でしか通用しない物では、『一般的ではないし恥ずかしいから』との理由に抵抗されてしまうだろう。
あくまで『常識』と言う広く大きな範囲で当て嵌めて自分の羞恥心よりも従わなければいけない、それが世間では当たり前であると思わせるのが重要。
それと<他の隊員がやっているから自分も>と思わせて集団心理を利用するのも有効な手立てだ。
恐らく今はこれぐらいが本人達の意思を無理が少ない状態で捻じ曲げられる暗示だろう。
デバイスの情報を見る限りでは暗示装置の性能は高くとも、いきなり「ショーツを脱いで尻を向けていろ!」等の暗示を掛ける冒険は出来ない。
半年の期間と言えど慌てる事無くゆっくりと確実に洗脳を繰り返していけば、普通では絶対にしないであろう行為も楽に出来る筈だ。
一つだけ暗示を掛けてエリオとザフィーラはしなくても良いと言った後に、催眠状態から目覚めさせるキーワードを呟く。
「―――――――」
「……の隊員達や、よろしくしたってや!」
はやて隊長が催眠状態にされる前に言っていた言葉の続きを言い終わらせて、徐に立ち上がり他の隊員達の横に立つ。
そして表情こそ羞恥に染まっているがスムーズに制服を開き、ブラを引き上げて柔らかく揺れる美乳を曝け出した。
「さっ、存分に揉んでや!」
その一言を切欠に並んでいた隊員達も、やはり顔を赤く染めて胸を曝け出していく。
前世の記憶が確かならばアニメで見た時よりも大きく感じる美乳が出揃う。
モデル以上と言える美少女達が羞恥に染まりながらも胸を露出させ揉まれるのを待っている。
殆ど平らな胸から呼吸をするだけでも揺れてしまう巨乳まで、選り取り見取りの光景に鼻血が出そうだ。
まずは『隊長』と言う、この部署では一番高い肩書きを持っている、はやての胸から揉もうと目の前に移動してじっくりと眺める。
六課では中ぐらいの大きさでバランスは丁度良く、他の隊員に比べると心無し色が濃いと思われる。
いきなりガッツリと揉んでも良いのとはいえ、それでは正直面白くない。
ここは頂点に鎮座する柔らかい乳首を硬くさせてみよう。
まずは人差し指で胸の下から上に乳肉が凹まない程度の軽い力で撫でる。
「……んふっ」
繊細な刺激に息が漏れた、はやての顔を一瞥してから乳輪の色が変わって行く辺りで円を描く様に動かす。
更に両手全ての指先を使ってそれぞれの乳房全体を、またも軽く撫でる。
それを繰り返せば胸は刺激で張りを増して、乳首は硬くなっていく。
「な、なぁ、早く揉んでくれへんかな?」
胸から感じるむず痒い快楽に羞恥心が負けたはやては、より強い刺激を求めて懇願の言葉を発した。
普段から他人の胸を揉んでいる所為で快感には弱いのかもしれない。
わざわざ頼まれてしまっては揉まない訳にはいかないと思い、希望通りに真正面から掴んで縦横無尽に揉み始める。
「くはぁ!」
掌で硬く尖った乳首を乳房ごと捏ね繰り回されて、快感に染まった吐息を吐き出す。
下から掬い上げる様に、または正面からパン生地を捏ねる様に痛みを感じない力加減で揉む。
「くふぅん……」
「はやて…………」
気持ち良さそうな声と表情を見た誰かから名前を呼ばれても、快感に身を任せているはやて。
揉ませると暗示を掛けても性感を受諾しろとは言っていない事を考えれば、元から性的に手を出されるのを望んでいたのかも知れない。
このまま揉み続けても、これ以上の展開は無さそうだ。
それに初日とは言え仕事もしないといけないので、はやてばかりに時間を取られる訳には行かなかった。
名残惜しくても他の美乳を揉む為に手を離した時に残念そうな顔をしたのは見間違いではないだろう。
その後は予定通り順々に揉んでいったものの『一般常識』の一点だけに暗示を掛けたからか、それぞれが違う反応を返してくる。
シグナムは赤みが強い乳首を摘まれて僅かな反応を返すも無表情を装い俺の目から視線を外さずに見詰め続けてくるし、ピンク色がはっきりとしている乳首のシャマルは微笑を浮かべて揉まれるがまま。
元から肌の色が白くて乳首の色素も薄いフェイト・テスタロッサは普通に握手をする感じの表情を浮かべていて、アニメではメインの主人公であった高町なのはは日本人らしい僅かに茶色の乳首で苦笑いのような表情を。
若々しい薄いピンク色の乳首をしたスバル・ナカジマは心底恥ずかしそうに顔を背けている。
ティアナ・ランスターは濃いピンク色の乳首を摘まれる度に嫌そうな顔をしていた。
スバルと同じ様な薄い色の乳首を晒して恥ずかしそうに顔を俯かせているキャロ・ル・ルシエと、何故か睨み付けてきている、はっきりとしたピンク色の乳首を持つヴィータは正直揉む所が無い……
仕方が無いので指先で弄って立たせるだけにしておいた。
リインフォースツヴァイは、もう本当にどうしようもない。
幼女体系を修得して貰っても、ストライクゾーンの最低ラインがキャロでギリギリだから手を出す事は無いだろう。
ここまで綺麗な乳首を持つ人物が多いのはヒロイン修正だろうかと勘繰ってしまう。
表情は違っても羞恥に顔が染まっている事だけが同じだった。
一通り揉み終わり自己紹介も終わった雰囲気を察した隊員達は胸を仕舞い込んで、自分の仕事場に戻ろうとしている。
普通なら隊長の挨拶の後で解散するべき状況の筈だが、まるで恥ずかしさのあまり一刻も早くこの場を立ち去りたいと見える。
しかし、帰ってもらうのは後で困るかもしれない。
暗示装置は管理局に忠誠心を植え付ける為に使う物として渡された。
掛ける暗示は当然、忠誠心を目覚めさせる物であり消す必要は無いのが前提で、つまりは先程の暗示の様に全く関係無い物でもずっと残ってしまう。
万が一にでも俺以外の男が上層部から派遣されてしまっては、隊員達の美乳が出迎える事態になってしまう。
そうなってしまえば欲望のままに装置を使った事実がばれ、暗部等に消されてしまう可能性が大いに出てくる。
かといって、派遣された人間をこちらに引き込むのは絶対にしたくは無い。
美味しい思いをするのは俺一人で十分だし、秘密を知る人間が増えれば洗脳の事を隠匿するのが難しくなってしまう。
身に降りかかる危険は出来うる限り少ない状態を維持すべきだ。
そして先程の暗示を取り消す為に、再び催眠状態にするキーワードを呟いた。
「――――――――――」
「自己紹介も…………」
解散の音頭を言い掛けたはやての言葉が止まり、帰ろうとしていた隊員達の動きが止まって顔から表情が消える。
すでに扉を目指していた人が居たものの、立ち止まったのなら聞こえているはずだし問題は無いだろうと言葉を続けた。
「貴方達は俺と挨拶を交わす際に、胸ではなくちゃんと手と手で握手を交わしました」
「…………」
「その時思った感情は、女性として男と触れ合う際に感じる正常な物なので心配は要りません」
「…………」
何を言っても無反応で掛かっているか不安になってしまう。
この状態なら俺に対する高感度を好きな様に出来ても、全員が同じ様な態度では何の意味も無い。
それぞれが今抱いている気持ちを利用しながら暗示を掛けた方が、何倍も興奮するだろう。
嫌っているのなら身体だけを操り、自分から咥え込む様な状況とかは王道だ。
装置が高性能でも脳とは未だに全て解明された訳ではないので、徐々に尚且つ確実に洗脳をしていく事を心掛けないといけない。
その事を意識しながら記憶を操作して催眠状態を解除した。
「――――――――――」
「……終わった事やし、早速仕事をしてもらおかな?」
「分かりました」
「扱き使ったるで?」
「……お手柔らかにお願いします」
こちらを覗き込んで厭らしそうな顔を浮かべて、確認を取ってくる。
本当なら俺のほうが厭らしい笑みを浮かべたい気分だった。
「まっ、今日は地上本部の案内をフェイトちゃんに頼んどるから仕事は無いんやけどね」
「そうなんですか?」
「うん、そうだよ」
てっきり全員が退出したのかと思ったら名指しされたフェイトが後ろから声を掛けてきた。
「海とは建物の構造が違うからなぁ、迷ってしまわん様にと親睦を深めるついでに案内をしようって決めてたんよ」
「他の皆は忙しいみたいだから私が案内するよ」
「つまり暇人の仕事って訳やな」
「もう、はやてったら!」
「実際は私が無理矢理予定を捻じ込んだんやけどな!」
先程揉んだ胸を張って白状しているが、これは明らかに職権濫用だ。
地位を利用して他人の予定を変えるなんて、平和を守ると謳い文句を言っている人間がやるなんて到底理解できない。
好き勝手に予定を変えられてしまっては必ず何処かに悪影響が出るはず。
唯でさえ局員は忙しく、数も少ないのに管理外世界出身は仕事を軽く考えているのか。
と、この世界で俺が持っている外面なら思っておかないといけないだろうか?
公私混同しているのは明白だから、脳味噌様の報告はこの辺りから手を付けていけば良いかもしれない。
そもそも予定を守ってくれなければ困るのは俺だ。
暗示を掛けている時やら、性的な行為をさせている途中に誰かを来させる様な事態になっては堪らない。
「―――――――」
「は…………」
「…………」
フェイトが何か言い掛けていても、迷わず催眠状態へ。
もう変えてしまった予定は仕方が無いものの、緊急時以外で予定を無理矢理変えてしまわない様に暗示を掛ける。
後は装置の性能と本人の柔軟な対応を期待しておく。
「―――――――――」
「はやて、それは流石に駄目だよ!」
「いや、良かれと思ったんやけどな、良く考えたら色んな所に迷惑が掛かっとったわ……」
「そうだよ!」
「次からは気ぃ付けるわ……」
「う、うん……」
意気揚々としていた雰囲気は次第に薄れていき、最後は後悔を前面に出して言葉が小さくなっていった。
凄い勢いで萎んでいくはやてに戸惑ったフェイトが何とか励ましたおかげで、すぐにいつもの調子が戻る。
まさに親友だからこそ出来る遣り取りが目の前で繰り広げられていた。
そして、さり気無く隠していて気が付いていないらしいが、少し時間が経っているのにも拘らず俺の愚息は美乳を揉んだから臨戦態勢になって痛い。
案内と言う名目で、知らず知らずの内に自ら手の中に入ってくれるのなら断る理由も無い。
先程『握手』で体験したフェイトの身体の良さは劣情を、ぶつけるには格好の的だ。
「そんな訳でフェイトちゃんに付いて見学していってや」
「ありがとうございます」
「うん、付いてきて」
「ちゃんと覚えや~、私は…………書類仕事があるから」
「あははは……、頑張ってね?」
「では失礼します」
「ん~」
また元気が無くなった、はやてとツヴァイを残して部屋を出る。
まずは食堂から案内してくれると行って歩き出したのを見計らって、人気の無い廊下の真ん中で暗示のキーワードを呟いた。
暗示が効くのは六課だけらしいので、他に人が居ないのを確認してから言わないといけないのが難点だ。
「――――――――――」
「…………」
立ち止まったフェイトの前に回りこんで、顔を覗くと何も感情が浮かんでいなかった。
まだ暗示を掛け始めて日が浅いからあまり変な事はさせられないだろうが、果たして今の状態でどれぐらいの無理をさせられるかを知らなければならない。
精神崩壊する恐れがある暗示に発せられる警告についても知っておかなければならない。
流石に頭の中から警告音が出るとは思えないが、一度体験しておかなければ場を取り繕う事も出来難いだろう。
とりあえず近くにあった備え付けの端末で人気の無さそうな場所を調べて、催眠状態のフェイトをそのままに移動する。
誰も来ない様に鍵を閉め、実験を開始。
何をさせようかと考えてすぐに思いついたのが全裸にする事だった。
大抵の女は知り合って日が浅く、碌に知りもしない男に裸を見せるのは嫌だろう。
簡単かつ分かりやすく、暗示を掛けてみる。
「今すぐ全裸になれ」
「…………警告」
感情の一切感じられない声がフェイトの口から流れ出てきた。
先程、はやてで聞いた催眠状態時の平坦な物ではなく、機械じみてどこか恐ろしさを感じる声はマイクロチップから送られる信号を、そのまま言葉として発している感じだ。
「精神の崩壊する可能性が在り、その指示には従えません」
なまじ装置が高性能なばかりに心の奥底から嫌がる暗示にも力尽くで従わせる事は出来るものの、その際に衝突して傷付いてしまった心の修復は出来ず、最悪の場合は精神が崩壊する恐れがあって、それを防ぐ為の警告。
この言い方を聞くと他人が居る状況での、取り繕いは出来そうにもない。
やはり最初から人気の無い場所か、六課の関係者しか居ない状況で催眠状態にする必要がある。
それよりもデバイスや知識を思い出すとフェイトは本人を攻めるよりも、なのはやエロイとキャロから攻略した方が楽かもしれない。
原作やデバイスの記録を思い出すに、依存傾向が強い様だから『なのはが言うのなら』や『キャロが世話になったから』等の信頼している人物を理由にすれば簡単に落ちるだろう。
攻略の方針を決めて、今度は理由を付けて裸になるように暗示を掛けてみる。
これで駄目ならフェイトよりも警戒心も自我も強い他の六課隊員は岩を削る波の様に、ゆっくりと確実に信頼を積んで洗脳を施していかなければならない。
「フェイトがはやてから与えられて仕事は案内をする事、だから自分の身体を使って案内をしないといけない」
「………………」
ここまでは何の反応も無い。
良く考えなくとも案内するには歩く必要があるので、身体を使うと言う点では何の矛盾も無い。
だが、大事なのはここからだ。
「効率良く実行する為には全裸になって自分の身体を地図代わりにして教えるのが一番の方法だから、それを実行に移しましょう」
「…………警告」
世間の常識から外れていようとも理由を付けたので、ただ単純に裸になれと言うよりかは聞きやすいはずの暗示に警告が発せられた。
「精神が崩壊する可能性が在り、その指示には従えません」
握手代わりに胸を揉ませた事を考えると、駄目な理由は恐らく裸……、と言うか下半身を見せる事だけの筈。
上半身だけなら問題は無いと思われるが、男の裸に対しては変じゃないと暗示を掛けても拒否を示すのだろうか?
「貴女は私がはいている男物のパンツが無性に気になってしまい、どうしても見たくなってしまいます」
「…………」
「その好奇心は実際に確認するまで止まる事は無く、近くに居る私が履いている物を見せてもらいましょう」
警告が無いのを確認してから催眠状態を解くキーワードを呟いた。
表情に意識が戻って戸惑う様に辺りを見回したと思ったら、正面に居る俺の股間に視線が突き刺さる。
そして何やら恥ずかしそうに眼を泳がして、最終的には上目遣いに落ち着いた。
「あ、あの……ちょっと、お願いがあるんだけど良いかな……?」
催眠状態にしてから部屋に移動したからフェイトには瞬間移動の様に感じられたが、暗示によって優先度が『いつの間にか部屋に移動した』と言う疑問よりも『男物のパンツ』を見たい欲求に取って代わられてしまい、心と身体を守る最後の切欠を失ってしまった。
「何ですか?」
「えっと……、その君が履いてるパンツを……、その、見せて欲しい……の」
両手の人差し指を付き合わせながら恐る恐る聞いて来る姿は保護欲を刺激されてしまう。
これが不細工だったり30代以降の女がやると、迷わずアクセルシューターを全身に満遍なく叩き込んでしまっていた。
自分で暗示を掛けたとはいえ、こんな頼み方をされてしまっては見せない訳には行かない。
「良いですよ、……脱がしてみます?」
「えっ、…………うん」
躊躇いがちに提案を受けてズボンの前にしゃがみ込んだ。
身体の位置はフェラチオをするに丁度良い高さになっている。
六課で挨拶をした時に発散出来なかった欲求が陰茎の半立ちという形で残る状態で、性的な事に疎い美少女の顔が股間のすぐ前にあるのは衰えた分の興奮を補充するには十分だった。
「ん、……ん?」
ズボンを脱がして男物のパンツを見た時点で掛けた暗示の目的は達成され、そのまま興味は中で大きく勃起をしている陰茎に注がれる。
男の身体の知識を殆ど持っていないと言っても過言ではないフェイトは、自分の身体には無い不思議な光景に対して疑問の声を上げた。
「……あの、これは何かを入れてるの?」
「いや、入れている事には違いないですけど、フェイトさんが脱がせたからこんな状態になってしまったんですよ」
「えっ!?」
まるでお前の所為だと言わんばかりの言葉にフェイトの顔色が悪くなっていく。
慌て具合を見ると医務室に連絡を入れられてしまいそうな雰囲気が出ているので、この場で出来る処置を教えないといけないだろう。
「あっ、大丈夫ですよ、ある処置をフェイトさんにして貰えば治りますから」
「どうするの?」
「とりあえずパンツを脱がせて開放してください」
「わ、分かった……!」
俺の言葉を聞いて即座に返す姿から加害者としての罪悪感の度合いが如何に大きいか、手に取る様に分かる。
言われるままにパンツを下ろされると勃起していた陰茎が勢い良く飛び出してフェイトの鼻先を掠めた。
「きゃんっ!?」
上げた悲鳴に性的な拒否感は無く、精々がビックリ箱に引っ掛かったぐらいの声だ。
驚いた勢いで閉じてしまった眼を開けて、視界に入れたのは完全な大きさになった男の象徴。
普通なら悲鳴の1つぐらい上げる所なのに見詰める表情には嫌悪感は無く、逆に痛ましそうな雰囲気が強くなっていった。
心成しか震える手を恐る恐る伸ばして確かめるように優しく触ってくる。
「うっ!」
「っ、だ、大丈夫!?」
熱くなった所に美少女の少し冷たい手に思わず出てしまった声を聞いて、慌てて手を引っ込めたフェイト。
上目遣いで安否を聞いてくる顔には罪悪感で目頭に涙が溜まっている。
「大丈夫ですよ、冷たい手が気持ち良いのでもっと触ってください」
「わ、分かった……!」
「先の方が感じやすいので、そこからカリの辺りを重点的にお願いします」
「う、うん」
指示に従って亀頭とカリに指を這わせていく、
その動きはまるで腫れ物に触る如く優しい手つきで、刺激に関しては物足りないが今は精神的な興奮が勝っており、いつも以上の興奮が感じられた。
亀頭の上半分に女の子特有の細い指先を滑らせ、そのまま両手の指でカリの下から形を確かめる様に動かす。
繊細とも言える手付きで高まった興奮を正直に表す陰茎はカウパー液を出し始める。
「何か出てきた!?」
「それは気持ち良いと出て来る物で、それを出し始めたら後少しで良くなる合図なんですよ」
「そ、そうなんだ……」
「無害なんで先の方を中心に塗り込む感じで手を動かしてください」
「分かった!」
些細な変化にも敏感に反応するフェイトの初心さ加減を、微笑ましく感じつつも次の指示を出した。
乾いた状態だった陰茎に粘りのある液体が塗り込まれると、静かだった部屋の中に卑猥な音が響く。
匂いと感触に本人も気付かない内に興奮してきたのか、顔は赤くなり徐々に呼吸も荒くなる。
クローンとはいえ、女としての本能が顔を出してきたのを見て、今なら口を犯す事も出来るのではないかと思い、治療法の1つとして言ってみた。
「フェイトさん、このままでは時間が掛かりそうなので口を使ってくれませんか?」
「えっ……と、どういう事?」
「つまりですね、飴を舐める様に口に含んで刺激をして欲しいんですよ」
「で、でも…………」
通常の使用方法を知っているフェイトは、提案されて事に対して流石に拒否の姿勢を見せる。
だが、拒否の理由が汚いという事だけならば、それを取り除くだけだ。
「大丈夫ですよ、毎日風呂に入って綺麗ですし、汚れも付いていないでしょう?」
「う~ん、……そうだね」
「それにこんな状態にならなければ、問題は無かったんですけどね」
「うぅ…………」
「――――――――――――」
綺麗であると念を押した上で罪悪感を刺激しながら催眠状態へ落とす。
興奮して赤い頬になったまま無表情になったのを確認して、『本人が洗っていると証言をしたし、見た目も綺麗なので言われた通りにしてみる』との暗示を掛ける。
警告を発しない所を見るに、やはり汚いかもしれないという事だけが拒否理由だった様だ。
これだけでは不安なので、2つだけ暗示を追加して催眠状態を解く。
「――――――――――――」
「うぅ……、分かった、舐めてみる」
匂いを慎重に嗅ぐという、おそらく初めて見る物を口へ入れる時に大抵の人がやるはずの行動を例に漏れずやったフェイトはハッとした表情を向けてきた。
戸惑いがちに舌先を出して鈴口の少し隣を舐めて驚く。
「甘い!?」
そして『大きくなった陰茎から出る液体は甘く感じる』暗示を掛けられたが故の反応を示す。
舐める事に対しての拒否感を取り除いても、カウパー液や精液の味で嫌がられては元も子もないと思い掛けた暗示が功を奏した様だ。
嫌悪感が無くなったのに加え、予想外の甘さを感じたフェイトは止める選択肢をあっさりと放棄して一心不乱に舐める。
今までの温い刺激から一転して舌による熱心な愛撫を受けた陰茎は、急速に射精の準備が整っていく。
良くアイスクリームを舐める様にと例えられるが、まさにその動きで陰茎に舌が這いずり回る。
一番濃いカウパー液が出ている鈴口を舌の腹で撫で、味が無くなるや今度は亀頭の形に添って動かしカリへ移動、入念に味わいつつ唾液を塗り込んで竿の部分へ行く。
そこの味が無くなると、また鈴口へ移動して教えていないのにも関わらず亀頭を口の中に迎え入れた。
先程、先の方が感じやすいと言われた事を思い出してピンポイントに刺激を送って来る動きへ変化し、亀頭の裏から舐め上げて鈴口を軽く穿る様に尖らせた舌先を使ってくる。
ところが、それでは出口が塞がれてしまい新たなカウパー液が味わえないと分かり、今度は舌の表だけとは言わず裏までも使って亀頭を嘗め回す。
刺激をすればするほど甘いカウパー液が出てくるので、コツを探りつつ動きが大胆になる。
熱が篭った舐め方をされた結果、濃さを増した精液は口の中へ勢い良く流れ込んでいく。
「……うっく!」
「んぶっ!?」
急に出された粘液に驚いた表情を浮かべたフェイトは、精液の味を認識した瞬間に別の驚きを覚える事になった。
先程掛けたもう1つの暗示『精液は癖になる味わいで何度でも飲みたくなる』の効果が発揮されて口内を汚す精液を夢中で飲みだす。
恍惚とした表情を浮かべながら射精にタイミングを合わせて喉を鳴らしていくも、一回に飲み込む量が少ない小さな口では間に合わずに端から漏れ出してしまっている。
「んぐっ、ごくっごくっ……」
「うっ、ふっ、うぅ……」
蓄積された物が全て無くなって力を失った陰茎を吐き出すと、口の端に付着している精液も残さずに舐め取った。
「はぁ……ぁ…………」
「あの、ありがとうございます」
「あっ、うぅん、良いよ、私が原因だったしね……」
後味を堪能して飛んでいた意識を戻させて、一応礼を言っておく。
お陰で何故フェラチオをしていたのか思い出したフェイトだが、萎れた陰茎を捉えている視線と表情は明らかに終わってしまった行為に未練がある様だ。
しかし、あくまでフェラチオは治療行為の一環として行っていた事なので小さくなった状態では、もう一度やる選択肢は無く渋々と立ち上がる。
「もう大丈夫だよね?」
「えぇ、すっきりしました」
「良かった、大きくなったらまた私に言ってね、協力するから」
「えっ、お、お願いします」
始めた時は自分の所為だから処理をしないいけないと義務感を持っていたはずなのに、今では味を求めて積極的に行おうとしているのを見ると甘い物に対する女の執着心とは凄いなと思いながら催眠状態へ落とす。
それにしても精液に対する熱中具合は少し異常だったかもしれない。
依存症に陥らせない為に精液の味に関する暗示を解除した後、習得したフェラチオの技術は心の奥深くに封印させた。
そして、『この部屋に入ったのは地上施設の一般的な間取りが知りたいと言われたから』と偽りの記憶を上書きして催眠状態から戻す。
「……ん、こんな感じになってるよ」
「そうですか、分かりました」
眼に力が戻ったフェイトは偽者の記憶に従って、していたと思っている説明を終わらせる。
後はフェイトの案内を適当に聞き流しつつ、最終的には食堂へ到着した。
「ここが最後、六課の食堂だよ」
「分かりました」
「私としては美味しいと思うけど、はやては味に不安があるみたいだけどね」
「そうなんですか?」
「うん、昔から料理に凄い拘りを持ってたから、近い内に直々の指導をする計画を立ててるみたい」
記憶が確かなら、はやては子供の頃から料理を習得していて味にも五月蝿かった記憶がある。
それが忙しい今でも妥協する事無く発揮されているのか。
職権濫用の疑いもあるが、食事が上手くなるなら見逃しても良いと思う。
この世界に関わらず地球で飲食店を営んでいれば洗脳されて犯される事など無かったはずなのにな。
振り回されて被る不幸は続いているらしい。
「私は、はやてに案内が終わったって連絡を入れてくるから休んでて」
「分かりました」
混雑する時間帯が過ぎた食堂で忙しく働いているのは厨房で仕込みをする料理人たちだけで、食事スペースには人が殆ど見当たらない。
適当な飲み物を注文して、歩き疲れた足を休める。
決められている職務時間を六課観光にほぼ全て費やしてしまった様だ。
人が来ない場所の目安も付けられたのは、幸先が良い証拠だろう。
いつの間にかアニメの世界に来てしまった時は如何した物かと思ったが、美味しい思いが出来るのなら大歓迎だ。
洗脳装置に付いて知って置いた方が良さそうな事も分かったし、これからが楽しみで残弾を出し切った筈の股間が最充填されそうになる。
この後の性的に明るい未来を想像して表情を緩ましていると、フェイトが後ろから声を掛けてきた。
慌てて表情を戻して頬を解しておく。
「どうしたの?」
「いえ、何でも無いです」
「そう」
不振がる様子も無く飲み物を持って正面に座る。
「はやてが今日は歩き疲れただろうから、直帰で良いって言ってたよ」
「そうですか、そんなに疲れてないんですけどね」
「体力あるね」
「普通ですよ」
戦う人間がこのくらいで音を上げてしまっては戦場で使い物になるはずも無い。
だが、訓練の時でさえも身体的な強化を普通に行っている現状では言っても無駄だろう。
「粗方は回ったけど覚えられた?」
「まぁ、デバイスもある事ですし問題はありませんよ」
「そう良かった、これからよろしくね」
「こちらこそ宜しくお願いします」
世間話に花を咲かせた後、フェイトは仕事に戻って行った。
一方、仕事を任されていない俺は自分の部屋に帰り、脳味噌さん達用の報告書の製作に取り掛かる。
書く内容は、職権濫用をしていたので今後はしない様に暗示を掛けた事と、意思が意外に強いから徐々に洗脳を施す旨を記して送信した。
細かい荷物の整理をして寝ようかと思ったら脳味噌さん達からの返信が届く。
その早さに、付き合いたての恋人を想像して気分が悪くなってしまったのは消したい……
書かれている内容は職権濫用について確認した事、思い上がりを諌めた事に賞賛する言葉と、日毎の報告ではなく結果で成果を示して欲しいとの内容だった。
駄目だったら事細かく報告を求められている筈だから、初日とは言え相手が満足の行く物を出せた様だ。
日毎に出さなくて良いと言ってくれたのも楽で良い。
明日の予定は確かはやてに付いて事務作業の流れを教えて貰う手筈になっているから、今からどんな事をするか考えておこうか。
あれこれ考えていれば、いつの間にか眠気に負けた意識は沈んで行った。
その2
「おはようございます、八神隊長」
「はやてで良いでぇ、そっちの方がアットホームな感じがして良いやろ?」
「……――――――――」
六課の部屋に到着して中に居たはやてへ挨拶をしたら、こんな事を言ってきた。
今は仕事中だから、けじめは付けておきましょうねと人の事を言えないのに矯正する暗示を掛けた。
細かい事かも知れないが周りの目を考えるならば、例え人目に付かない所でも呼び方はしっかりしておかないと要らぬ言い掛かりを付けられるかもしれない。
脳味噌からの極秘任務は俺しか知らないはずだから、変にプライドが高い末端職員の相手をするのは時間の無駄だ。
「おはようございます、八神隊長」
「おはようさん、今日は六課の書類仕事の流れを教えるから、ここに座ってや」
既に必要なソフトが立ち上げられているデスクに案内される。
椅子に座ると後ろから明らかに無駄と分かる手順や、要らない操作を指示してきた。
必要以上に手順が多くとても覚えきられるものでは無い。
「あの、これを全部やるんですか?」
「やるんよ、海と違って地上はこんな感じで書類を出さなあかんて言われてなぁ」
「はぁ…………」
「これが地上の初動が遅い原因の一端やのに気ぃ付いてへんのかな?」
ぶちぶち文句を言い出すはやてには悪いが、海も地上も書類の流れと必要な記入は同じだ。
裏事情を知っている俺から見れば、機動六課の設立に反対を示していた地上幹部の嫌がらせ以外の何物でもない。
はやての見えない所で通常の書き方をしていれば、六課での仕事に関しては問題ないだろう。
この覚えにくい作業を教えて貰っている状況は使える。
「――――――――――――」
「やっぱり私が…………」
次々に出てくる愚痴を無視して催眠状態にする。
物を効率よく覚える為には手取り足取り教えて貰うのが良いだろう。
更には強い印象を一緒に与えると記憶に残りやすいと過去に何処かで聞いた記憶あるから、それを利用する様にとの暗示を掛けて催眠状態を解く。
力の戻った顔で愚痴の続きを一通り言った後、顔を赤くしながら暗示で刷り込んだ知識を披露してきた。
「流石に普通に教えたんじゃ覚えられへんやろうから、特別なやり方で教えたるわ……」
「特別……ですか?」
「そう、特別やで?」
そして服を徐に脱ぎだした。
元から性に興味津々な、はやてはこういう暗示にすんなりと掛かってくれる。
「どっかで聞いたんやけど、物事を効率良く覚えるんは強烈な印象を与えながら手取り足取り教えるんが良いねんて」
「そ、それが……?」
「だから、うちのおっぱいを見ながら教わった方が早よ覚えられるんとちゃうかな?」
「うっ…………」
「シグナムには及ばんけど、結構良い形と色やろ?」
「……はい」
初心な反応を返していると、はやても興奮したのか自分の胸を持ち上げて乳首を摘む。
熱っぽい視線を向けられて満足したのか、後ろから抱き着いてきてコンソールの上にある手を握ってきた。
首には程好い乳房の柔らかさを感じられて、少し横に顔を向ければ眼に前に綺麗な乳首が見て取れる。
「早速、教えるから画面を見てな」
「は、はい」
「ぅんっ!」
勢い良く返事をした拍子に息が掛かった乳首からの刺激に声を上げた。
最早、画面を見る事は無く横に向けたままで説明を受ける。
それを注意する所か、俺の荒くなってきた息が当たる位置を探して修正してくる始末。
穴が開くほどの視線と柔肌を撫でる空気に、柔らかく縮こまっていた乳首は硬さを増して尖っていく。
誘惑に負けてしまい。舌先で舐めた途端に押し殺した悦声が頭の上から聞こえてきた。
「うぅん!」
唾液が塗りたくられた乳首は半分だけヌラヌラとした光沢を放ち、水分が蒸発する時の冷たさに反応して集る血液も増していった。
舌で絡め取った乳首を引き寄せて口に含むと、声に余裕が無くなると共に高くなっていく。
「うくぅん……」
それでも辛うじて説明を続けられているのは、立場が上であるプライドだろうか。
空腹時の乳幼児の様な吸い付きを受けて、重ねられている手は強く握られてしまい動かなくなっていく。
表情こそ頭上にあって確認出来ずとも、説明をする事の無くなった代わりに何かを耐える息遣いを聞いて、かなりの快感を得ているのが簡単に予想できた。
口内で、はやてが発する無言の希望通りに愛撫をしていると、悦声を出すまいと頑張っていた唇が負けてしまった。
「くはぁ~ん!」
一度だけの大きな喘ぎ声を出したと思ったら、慌てて口を手で押さえた。
普通ならば恥ずかしがるなりして離れるはずの状況でも、そんな様子は全く無く。
何度か深呼吸した後に、何事も無かったかの様な態度で説明を続けて変わったのは、より密着して乳首を咥え易い所に持って来る事だけだ。
隊長殿の要求に応えるのは吝かではないが、これでは俺の欲求が溜まるばかりで辛い。
ガチガチになった陰茎は早く自身と欲望を開放しろと主張を受け、はやてから見れば丸分かりなのを知りながらもズボンのチャックを開けて亀頭が少し出る程度に引っ張り出した。
「っ!?」
息を呑んだ気配を感じても無視して、カリ弄りながら再び乳首を口の中へ迎え入れた。。
はやてには不意打ちに近い刺激で再び声が出そうになるが、とっさに指を噛む事で耐え忍ぶ。
「くっ、ふぅっ……ん」
その後も吸い付き、舌先で弄びながら陵辱を続ける。
だが、亀頭しか出せていない状態での自慰は満足には程遠い。
更に時間を掛けすぎた所為か、昼にセットしておいたアラームがなってしまった。
「あちゃ~、もうこんな時間かぁ」
残念そうにアラームを止める。
肩に感じていた柔らかな重みが去っていき、結局は溜まった欲望を放つ事は叶わなかった。
教わった書類の制作方法は胸に集中しすぎて殆ど覚えられなかったのは、はやても分かっており期待を込めた上目遣いで乳首を弄りながら、もう一度教わることを提案してくる。
「やっぱり一度だけやったらあかんぽいなぁ、もう一回教えたろか?」
「……いえ、デバイスに記録しているので大丈夫ですよ」
「あっ…………」
全く気が付かなかったとばかりに停止してしまった。
そもそも、こんな生殺し状態が続くのは勘弁してもらいたい。
仕事を教わると言う理由がある以上は、本来の目的ではない性的な行為は装置からの警告が出る可能性があり危険だ。
「あ、あははは、そうやんな、忘れてたわ……」
やっと動き出したはやては、羞恥に染めた顔で乾いた笑い声を発した。
何処か、ぎこちない動きで脱いでいた上着を着て後ずさりながら扉に向かっていく。
「わ、私は、お、お昼ご飯を食べてくるから、デバイスに記録した物で復習をするなり昼食を取るなりしてやっ!」
真っ赤な顔で有無を言わせない迫力を纏わせて言い切る。
午後の仕事について聞こうと口を開く前に、凄いスピードで食堂へ走り去って行った。
主の行動に呆然としていたリインフォースも正気に戻り後を追っていき、残ったのは溜まった欲求を抱えた俺だけになってしまった。
警戒をしすぎた所為でチャンスを逃してしまった感が漂う。
どうせ警告が出てくれるのだから、もう少し踏み込んだ暗示を掛けた方が良いのかもしれない。
部屋に一人残された俺は寂しく、そう考えた。
いつまでも凹んでいては進む物も進まないと最近、味が向上した食堂に向かう。
職員達が賑わう食堂へ着くと眼に入ったのは孤立したはやての姿。
嫌われて一人になっていると言うよりは、頭を抱えてうんうん唸っている奇行を見て避けている様子だ。
近くにティアナとスバル、キャロとエリオ、そしてシグナムが居たので相席を頼んでみる。
「ここ良いかな?」
「あっ、良いですよ」
最初に気が付いてくれたキャロの言葉に甘えて座った途端に色んな視線が突き刺さってきた。
一番強いのがシグナムの鋭い視線と、ティアナの胡散臭そうな人を見る様な視線。
「あの、何か?」
「……確かお前は主に仕事を教わっていたはずだな?」
「えぇ、そうですね」
「主の様子が可笑しいのだが、何かしたのか?」
答えによっては今ここでと、言葉が続きそうな雰囲気で問い詰めてきた。
シグナムを含むボルケンリッターにとって、はやての存在はもっとも大切な存在だという事は知っている。
だからこそ、あの変な様子に異変を感じているのだろう。
正直に乳首を咥えていましたと答えてしまっては、その瞬間に首が物理的に飛んでしまいそうなので当たり障りが無く、深く問い詰める気がなくなる理由をでっち上げないといけなくなってしまった。
「……書類作成の流れを教わっていたんですけど、ややこしいから一発で覚えられそうな方法を試したらしいんですよ」
「ほう……それで?」
「画期的な方法とか言ってたんですけど、デバイスに記録しておけば良い事を全く思いつかなかったらしくてですね」
「…………」
「その事を指摘したら、顔を真っ赤にして飛び足して行ったんですよ」
画期的な方法と聞いた時に僅かな表情の変化が見られた。
内容が不明で、どう見ても主の異変の原因でありそうな事に引っ掛かった様だが、実際にその事を聞いてきたのは意外にもスバルだった。
「方法って何ですか?」
よく知る性格通りに勉強に対しての苦手意識を持っており、出来るなら楽をして勉強をしたいのだろう。
しかし、言えるはずも無いので、はやての様子を盾に言葉を濁す。
「俺は別に恥ずかしくは無かったけど、隊長があんなに恥ずかしがっているのに言っても良いのかなぁと……」
「いや、主があんな反応をしているのなら無理をして言わなくても良い」
「えぇ……」
主が一番のシグナムは、俺の狙い通りに深く聞くのを止めた。
年齢的に素直なキャロとエリオや、難しい事は考える前に力で解決したがるシグナムとスバルは微妙に質問を摩り替えられている事には気付きもせず、この中では気付きそうなティアナはスバルへ説教をするのに忙しく、怪しむ素振りは無かった。
無意識ながらも手の掛かる妹の様に思っていて、楽をすればすぐに堕落してしまうのを見抜いて注意を飛ばすのだろう。
それに加えて胡散臭いと思っている相手にも挨拶は交わすティアナは実の所、良い子なのかもしれない。
「今は恥ずかしさを整理している途中みたいだから、一人にして置いた方が回復は早いと思いますよ?」
「……そうだな、主に恥を掻かせた事は許せないが、主自身が原因なら私にどうこうする事は出来ない」
「でも、このまま放っておいたら変な噂でも立ちそうですよね?」
「スバル!!」
「慰めてくる!」
ある意味、無邪気なスバルの言葉を聞いて素早い動きで、はやてに向かって行ったシグナム。
しかし、慰めは功を奏さず帰って羞恥心を増大させて、食堂から走り去る主の背中を見送るだけに終わった。
肩を落として戻ってきた姿に適当な気遣いの言葉を掛けつつ食事を済ませた。
この後も六課で書類仕事をする為に戻る後姿へ、鋭くした視線をシグナムに向けられていた事には気が付かなかった。
午後
羞恥心から回復していないはやてから仕事を任されて近くの資料室を尋ね様と人気の無い廊下を寂しく歩く。
極度に嫌われている質量兵器に関しての資料という事もあり、保管されている場所も臭い物を遠くに置きたがる人の性質を良く表していると感じる程に遠い。
最近は書類仕事の相手ばかりで現場に行く機会が極端に減った状態で、この距離の移動は嫌でも自分の体力が落ちたのを実感させられる。
基礎トレーニングも睡眠時間を削ってまでやる物ではないし、朝早めに起きるのも覚えないといけない事が大量にある状況では難しそうだ。
これから先、性欲だけは問題無く発散出来そうなのが唯一の救いかもしれない。
そんなことを考えている内に目的地に到着するも、その扉は開きっぱなしになっている。
本局内である物の原作の知識では敵に侵入され放題だった記憶を掘り出して、自然と警戒しながら慎重に室内を窺う。
室内への突入マニュアルに従って左右の安全を確認して音を立てない様に気を配りながら奥へ進むと見覚えのある赤い髪の少女体系が目視できた。
後ろからでも分かる隊長服で、特徴ある三つ編みに警戒を解いて話しかけようとしたが即座に思い止まる。
そう言えばヴォルケンリッターは夜天の書の守護騎士。
主であるはやてで性欲が溜まったのであれば、ヴォルケンリッターで発散させるのが筋ではなかろうか?
お互いが持ちつ持たれつの関係だったら、片方が原因の物は残った方が責任を取るのは道理。
そう考えて、気配を察知されない為に扉付近へ戻ってキーワードを言った。
言葉で催眠状態に出来るのは、聞こえてさえいれば良いのが便利だ。
「――――――――」
キーワードを聞こえる大きさで言った配意が、後姿では特に変化は見られない。
確認する時に近寄った際、無意識に忍び足で歩いたのはしょうがないだろう。
「ヴィータ隊長?」
「……はい」
覗き込みながら声を掛ければ、催眠状態特有の平坦な返事が返ってきた。
今は、はやての所為で溜まってしまった性欲を発散出来さえすれば良いのだ。
その為に一つの暗示を掛けて催眠状態から戻す。
「―――――――――」
「…………」
眼に力が戻ったヴィータは相変わらずモニターに映し出されている資料を読んでいる。
それは俺が横から覗き込んでいても変わる事は無い。
肩に触れても手を目の前で振っても、挙句に尻を触っても眼を向ける事すらしてこなかった。
余計な会話をする事も無く、ヴィータの身体を使って性欲を発散させる為だけに俺の存在を一切認識出来ない暗示。
自分しか居ないなら他人に触れられる筈も無いのは当然の事。
一人である思い込みと合わせれば、唯でさえ暗示に掛かりやすいプログラム体を持つヴォルケンリッターは一溜まりも無いだろう。
記憶の上書きと高性能な装置の前では暗示さえ通れば怖い物は無く、ヴィータが消えても本人は処女を不当に汚された事実を知る事は無い。
過去の夜天の書の持ち主も色欲がある男の主だったのなら絶対に犯した筈の小さな体を好きに出来るとは嬉しい限りだ。
シグナムと同じぐらい男を寄せ付けない雰囲気を持つヴィータの処女を奪うのに興奮の度合いが高まる。
一般的な透明人間以上に感知されないのを良い事に尻の上で動かしていた手の動きを大胆にしていく。
表面を撫でる動きから弾力を確かめる様に力強く揉めば、短くピッタリとしていたタイトスカートは捲くれてしまった。
不必要に色物ではない純白のショーツが露になり、サラサラとした手触りの布に包まれた小さな尻は手の圧力を弾力のある張りで押し返してくる。
小さい割には色気があるショーツを下ろし、腰を後方へ突き出させると少しばかり色素が沈殿している肛門と無毛の秘裂が現れた。
柔らかな大陰唇を指で開くと、果たして本当に陰茎が入るのかと思うぐらいの狭そうな膣口の奥に処女膜がヒッソリと存在しているのが確認できる。
指をそのままにして性器全体を舌で覆い、文字通り味見をしていく。
皮に隠されている淫核を始め、尿道口と小陰唇のヒダ、そして小さな膣口に唾液を塗りこみ体の性感を引き出し、念入りに動かせば薄く感じていた汗に替わって愛液が流れ出てくる。
指で淫核を弄りつつ、膣口を少しでも拡張出来る様に舌先を挿入させて弄ぶ。
最大の性感帯を弄られて所為か、すぐにでも達しそうに胎内の収縮を繰り返すようになってきた。
しかし、腰から上は下半身の事情に気が付かず、資料を読み耽る凛とした表情を保っている。
サーチャーを飛ばして見える映像を横目で確認しながら、性器への攻めを加速させていく。
膝が細かく震え、愛液が増えた膣内は圧力を増してきており、とっくの昔に顔を出していた淫核を力を込めて摘まれたのを切欠に潮を噴出して絶頂に達した。
崩れ落ちない様に足を踏ん張っているのは産まれたての小鹿を見ている様だ。
そろそろ我慢の限界になっていた陰茎を開放して絶頂で解れている筈の性器に宛がい、細い腰を掴み力を込めて押し進めて亀頭が小陰唇を分け入って膣口に減り込んで行く。
充分過ぎる愛液を纏わり付かせ、異物の進入を必死で拒む膣内へ陰茎を差し込み、抵抗すら心地良いと感じながら最後の防衛線である処女膜に接触する。
城壁と言うのは薄すぎるそれをジワジワと侵略していく。
今まさに純潔を汚され様としているのにも関わらず、ヴィータ自身はモニターの資料を読み続けている。
上半身と下半身のギャップに陰茎は太さを増し、膣壁の抵抗が強くなった気がした。
そして遂に処女膜は破り去られ、最奥の子宮口にまで侵入を許してしまう。
「んぐっ、…………ん、今のはあたしが言ったのか?」
辺りと見回して自分しか居ない事を確認しながら呟いたヴィータ。
破瓜と許容範囲を超えている熱い異物を胎内に迎え入れた所為で、体が黙っていられる限界を超えて思わず声が漏れた。
震えていた足は殆ど力が入っておらず、身長差から性器に突き刺さった陰茎で体が崩れ落ちない様に支えている状態になっている。
見た目通りの身体と同じく、子宮に減り込んでいるにも拘らず小さな膣は陰茎を根元まで飲み込ませられない。
再び資料に眼を通し始めたヴィータを尻目に、腰を支えてピストン運動を開始して本格的に犯しだす。
飛ばしたサーチャー映る、足を伝う破瓜の血に興奮は高まっていく。
突かれる振動で宙に浮いている足はプラプラと揺れて不安定である筈だが、上半身は仕事の出来る女の雰囲気を出していた。
「うくっ、あふっ、あっ、な、何……だ、声が……あっあっ、あぅっ!」
体が性器を突かれる快感を覚え始めたのが原因で勝手に出てくる悦声。
下半身で止まっていた性的な快楽は我慢できる量を超えて上半身に伝わり、体が勝手に性行為を甘受する。
ヴィータにとっては『誰も居ない室内で気持ち良いセックスをしている』感覚に捕らわれている筈だが、過去に経験していても闇の書だった時の影響で記憶が消え、夜天の書に戻り知識がリセットされた上に性的な情報への接触がはやてのセクハラ程度では、知識として知っている行為も実際に経験している感覚へ繋がらせる事は出来ず、ただ困惑してしまうだけに留まってしまう。
「くはっ、あっ、あっ、あっくぅ、ふぅ、うぅ」
一度絶頂に達している身体は処女に厳しい筈の動きも快楽に変換されてしまい膣壁の反応も、本人に意思に関係なく挿入された陰茎を締め付ける。
本来の機能を遺憾なく発揮して吸い付きを強める女性器を、徐々にピストンを激しくしていき根元まで入らない膣内を好き放題に陵辱していく。
時にはゆっくりと亀頭が抜けきる位にまで引き、纏わり付く小陰唇を楽しんで締め付けの強さを残す胎内に再挿入。
処女膜が在った特に狭い箇所をカリで広げながら突破させ、子宮口に鈴口を押し付ける。
スピードを上げてゴツゴツと子宮口を抉じ開けんとするかの様な突きを受けたヴィータは自分の体の異変にどうする事も出来ない。
遂には上半身を机に寝かせ、一人しか居ない部屋の中で下半身から送られてくる経験した事の無い快楽に何が起こっているか考えが纏まらない状態になってしまった。
狭かっただけの膣内は陰茎で拡張され性感帯として経験を積まされていく。
削られていただけの膣壁は健気にも陰茎を這いずり回る動きを見せるようになってきた。
精液を効率良く迎え入れ様と最奥に潜んでいた子宮も下り始め、ただでさえ浅かった膣がより浅くなる。
しかしそのお陰で柔軟性が増した胎内で子宮を押し上げながら突き入れて、根元まで挿入出来る様になった。
限度まで広げられている小さな性器は男を喜ばせる為の、そして生殖を効率良く行う動きを本能的に覚え始めたみたいだ。
不規則の動く胎内に陰茎の快感は増していき、今日は一度も出していない濃い精液が尿道を駆け上ってくる。
「あっ、くぁ、あぁ、あん、んん、うく」
スパートを掛けた腰の動きにヴィータの小さな尻は柔らかく形を変えながら衝撃を緩和している。
叩かれていると言っても良い位の勢いで興奮とは別に赤みを増していた。
抱えている腰は浅い呼吸を示す腹筋の動きを伝え、お互いの絶頂が近いのを感じる。
「はっ、はっ、はっ、くはっ」
その場から動いていないのにも拘らず、激しい運動をしたかのように舌を出している顔が横を向いたままで上を向き始めると膣壁の動きが更に激しくなってきた。
ヴィータの淫核を腰を掴んでいた片手で強く捻った瞬間に絶頂へ達し、今まで以上に強くなった膣の締め付けに我慢する事無く射精を開始する。
「はぁくああっ!!」
力一杯突かれた衝撃と同時に襲ってきた熱い種子を出された感覚に歓喜と快楽で終わらない絶頂を感じ続けるヴィータ。
そこに本人の意思は関係なく、ただ女の体が子孫を残す為の反応に翻弄される。
隙間無く陰茎を埋め込まれている所為で行き場が無なくなり、通常は精子だけが入る筈の子宮内部へ精液その物が注入されていく。
余韻で未だに痙攣をしている膣壁と子宮口の吸い付きで尿道に残っていた濃い精液は全てヴィータへと流し込まれていった。
尻が変形するまで押し込んでいた腰を引いて、力が失われた陰茎を引きずり出す。
腰の支えとなくしたヴィータは脚に力が入らない為にそのまま床へ崩れ落ち、その際に精液と愛液が付着している剥き出しの女性器がベチャッと厭らしい音を立てた。
重力に従って胎内を降りて漏れ出した白濁液を見たヴィータが朦朧とした顔で見詰め続け、殆ど無意識の内に指に付けて匂いを嗅いでしまう。
「はぁ……はぁっ……、…………何だこれ?」
リセットされた知識に当てはまる物がないので、困惑を深くしていくだけに終わる。
本人は生理の下り物かも知れないと頭の端で考えるが、殆ど人間に近づいたと言っても未だプログラム体では生理事態がある筈も無く考えは否定された。
シャマルは正体を知っているだろうから、聞かれれば犯されてしまった事に気付いてしまうかも知れない。
それは大変不味いので、いつも通り催眠状態にしてから記憶の上書きを施していく。
『ここではずっと一人で資料を読んでいた事』で空白の時間に対しての処置、そして『日頃の疲れが一気に出てきた』との暗示を体力消耗と倦怠感の理由として掛けた。
出した精液に対しては普通の人間で使える『生理で出る下り物』と言う理由が使えない為に、仕方なく綺麗に拭いて処理をしておく。
後は、はやてに頼まれた資料を探して扉が閉まる音を聞けば催眠状態が解ける様にしておけば完璧だ。
そして無事に資料を探し出して誰も居ない事を確認しながら部屋を出て扉を閉める。
念の為、扉に耳を付けて中の様子を窺っていたが、悲鳴を上げたり激怒する様な犯された時の反応は聞こえず、微かに体の疲れを呟いただけだった。
入り口に近付いてくる足音が聞こえて、あたふたしながら偶然通りかかった様子を偽る羽目になる。
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
「いえ、急に出てこられたのでビックリしたんですよ」
「あぁ、ここら辺は滅多に人が来ないからなぁ」
「そうなんですよね、一人だと思って気を抜いてましたよ」
「戦場だったら死んでてたな」
「こんな所が戦場になるのは勘弁してください」
隠し切れなかった慌て具合に疑問を投げ掛けられたが、何とか即興の理由で乗り切れた。
大して嫌われていない故にヴィータが本来持つ、害が無いと判断した人間には社交的な性格を遺憾なく発揮して会話が弾む。
まさか目の前に自分の性器を陵辱して中に精液を出されたとは夢にも思わないだろう。
本人の与り知らぬ所で犯した快感を思い出した所為で勃起を抑えるのが大変だ。
何とかヴィータが分かれる通路まで我慢して、自分の仕事に戻った。
自室への帰り道
今日の仕事も終わり、溜まっていた性欲も上手くヴィータを使って処理出来た事に満足して意気揚々と自室を目指しているとシグナムに呼び止められた。
「待て」
「はい?」
戒心の視線で油断なく近寄ってくる。
そこまで警戒される事をした覚えが……、あるにはあるがシグナムには知られていない筈。
単純に、昼に見たはやての異常で何かを察知したのか、それとも他のルートで警戒をされてしまう様な事を知ったのか分からない分、自然と受け答えは慎重になってしまう。
「1つ聞くが、お前は何の目的があって主はやてに近付いてきた?」
「……いえ、唯の上司からの辞令で部署異動しただけですけど?」
「隊長と副隊長である私達の様にリミッターを掛ける事によって戦力を抑える条件でやっと認められた六課なのに、お前程の局員が何の裏も無く来る訳が無いだろう」
「…………」
六課設立に渋っていた上層部が掌を返して、そこそこ評価されている人間を捻じ込んで来た事に不信を抱き、昼に見たはやての姿と人材保有制限の事も合わせて憶測は疑念に変わり、調べるよりも直接聞く事を選んだのだろう。
だからこそ今の様な人気が無い時間と場所を選んで声を掛けて、必要ならば物理的な排除も視野に入れているのかも知れない。
管理局員としては有るまじき行為でも、聖王協会を後継人に持つ『夜天の書』のヴォルケンリッターなら、ある程度の無理は利くと思っているのか。
暗示で強制する前のはやてによる職権乱用が良い例だ。
『A's』時代はもう少し慎重だったような気がしたが、貴重な物と強い力に権力を持つ組織のバックアップが揃うと、ここまで力に物を言わせた簡略的な考えと行動が出来るのか。
それに、いくら上司と言っても聖王協会の権力が届く範囲の人物から出された辞令だと思い込んでいる様だった。
上層部どころか管理局を支配している頭、と言うか脳味噌のコネがあるとは思いも寄らないだろう。
「どうした、図星な…………」
「――――――――」
焦れて言葉を重ねて来た所で催眠状態へ。
曲がりなりにも六課でこれから一緒に仕事をする人間を疑うなんて信じられない。
俺は大変傷付きました。
あんな程好いプロポーションの八神隊長に危害を加えると思われたなんて……
何と言う大正解!
鋭い洞察力は伊達にヴォルケンリッターのリーダーではないという事か。
疑いを晴らすのは後で良いが傷付いた心を癒やして貰わないといけないな。
「―――――――」
「…………のか?」
催眠状態を解かれたシグナムの眼に映るのは、少しばかり悲しそうな表情をしている様に見えているはず。
実際は殆ど変わっていないが、暗示で『自分が疑った人間は傷付いた表情に見える』と言う暗示を掛けてある。
俺限定の効果なのは言うまでも無い。
そして闇の書時代に管理局員を襲ってしまった事を思い出させて、制服を着ている人間に負い目を感じる様にしておく。
シグナムにとっては自分の主に危害を加える危険が高い男を追い詰めたと思ったら、いきなり悲しい顔をされて眠っていた罪悪感が呼び起こされているだろう。
敵意が溢れんばかりに睨み付けていた眼に動揺が走り、どこと無く困った雰囲気を出し始めた。
「うっ、うぅん……」
「…………」
何も言い返さずに見詰めていたら、罪悪感に耐え切れなくなって目を逸らす。
あわよくばここで始末しようとしていた相手にする事ではない。
「酷いな、いくら主を守る為のヴォルケンリッターとは言え、無実の人間に疑いを向けて自分から敵を増やそうとするなんて……」
「そ、そう言う訳ではないんだが……」
視線と合わせて言葉でも罪悪感を突く言葉を投げ掛ける。
完全に狼狽した様子で何とか言い訳をしようと顔を上げて反論を試みてはいるが、顔を合わせるとすぐに視線を地面へ逸らしてしまう。
口篭りながらも先程の勢いを取り戻した上で会話の主導権を握ろうと言葉を出そうとしては止めるを繰り返している。
好い加減に止めないと、いつまでもこのままになってしまいそうだ。
しかし、言い訳を考えるのは面倒だから、もう一度催眠状態にして『自分が納得のいく説明を受けた』との暗示を掛けておく。
そして『疑われた傷を治すのは自分の温もりを与えながら謝ると効果的』と『恥ずかしいと思うよりも罪悪感を払拭する方が大事』の暗示を掛けて催眠状態を解除する。
「…………す、済まない」
表情に力が戻って一番に出した言葉は謝罪だった。
『納得のいく説明』を受けたシグナムは疑って掛かった自分を責め、何とか慰める手段を考える。
そして意を決した表情で、悲しそうに俯いて下を向いている俺の頭を優しく柔らかな感触が包み込む。
掛けられた暗示を思い出して、とりあえずは抱き締めて温もりを与える事にした様だ。
「済まない、私の早とちりだった様だ」
「…………」
「お前は確かに信頼出来る男だ」
「シグナム隊長……」
主演男優賞の受賞者が見れば鼻水を吹いて笑う演技でも、高性能な装置によって安らいだ雰囲気に見えたシグナムは優しく微笑み返す。
抱き締められたのなら、こちらも返すのが礼儀と言う物。
大体同じぐらいの身長であるにも拘らず、細く引き締まった腰に手を回した。
「……私が悪かった、どうか許してくれ」
「いえ、シグナム隊長はヴォルケンリッターとして当然の事をしたんです」
「それでも相手の事はちゃんと調べるべきだった」
より多くの温もりが伝わる様に豊満な胸へ押し付ける力を強くする。
俺も腰に回していた手を徐々に下へ移動させ、尻を被せる程度に触ってみた。
「んっ」
流石に怒られるかと思ったがプログラム体なのと、暗示に力で抵抗はない。
それどころか逆に身体を密着させてくる始末だ。
温もりを与えると言う目的がある為に、俺からの要求は受け入れる事にした様だ。
恐る恐る手を動かして、明らかに揉む動きをさせてもその態度は変わらない。
「それでお前の心が癒やされるのなら良いぞ」
何と済し崩し的に行為を見逃すのではなく、許可を与えてきた。
謝る為に抱き付いている事と自分の罪悪感を消すと言う免罪符があるものの、大胆である事には変わりない。
元々、曲がった事が苦手なシグナムは、なぁなぁで許してしまうよりは自ら許可を与えた方が良いと思ったのだろう。
(以下は体験版様の展開です)
「かかったな、アホが!」
「何!?」
抱きついた状態から投げられる俺の体。
ご丁寧にも力の強化をしている辺りに本気度を感じる。
中を舞って背中から叩きつけられた衝撃で軽い呼吸困難に陥ってしまう。
「ゲホッ、ゲホッ、一体何を!」
「このまま抱かれると思ったら大間違いよ!」
暗示が効いている状態で、ここまでハッキリとした拒否を示すとは意志が強いにも程があるだろうと思ったが、何やらいつもと様子が違う。
腕を組んで仁王立ちまでは実際に遣るかもしれないものの、一番の違和感は表情だ。
先程の優しい微笑みは消えて、どや顔に変わっていた。
「ふふふ、今回はここまでだ」
「……何がですか?」
「体験版主人公であるお前はこの先には行けないのだよ」
「体験版……?」
特徴的なピンク色の長いポニーテールを解きながら言い放つ。
紐を捨て去り窓際へ移動すると、何処か懐かしさを感じる雰囲気を出している。
「お前は覚えていないのかも知れないが、私もだいぶ待った」
「何の事ですか?」
「ふふっ、敬語を使われるのはくすぐったいな」
暗示で変わった状態でも、シグナムが本来持つ凛とした騎士の本来の状態でもなく、まるで全くの別人になった印象を受けてしまう。
しかし、目の前に居るのはヴォルケンリッターのシグナム。
これは間違いない。
ここで会う前に瓜二つの人間が変わってしまっているのなら判断は出来ないが、これほど似ているのならば少しは話題になる筈だからそれは無いだろう。
もし出来たとしたら最高評議会が真っ先に使っているだろうし、そして俺が洗脳を任されるはずが無い。
「まぁ、私は思い出すまでずっと待っているがな」
「思い出すってな、ぐっ!?」
問い詰める為に足を踏み出した瞬間に頭痛が襲ってくる。
我慢出来ない程では無いものの、考えが纏まらない。
聞きたい事はたくさんある。
何故、暗示が効かないのか。
何故、そんなにも雰囲気が変わったのか。
何故、わざわざ意味深な事を話すのか。
そして、何故、何時か何処かで見た懐かしさを覚える顔をしているのか。
それらの疑問は言葉として出る事はなく、ただ呻く事で精一杯だった。
最早顔は完全にシグナムとは別人になっており、髪の色と服装だけが残っている。
「私から言う訳にはいかない」
「ぐっ、うぅ……」
「でもお前が思い出すまで、ずっと待っている」
哀愁漂う顔をしたと思ったら、今度はショーツが見えてしまっているのも構わずに足を高く上げて廊下を強く踏み付けた。
普通ならば『ダンッ』と重い音が響く筈の床が、高いのか低いのか良く分からない『コーン』と聞こえる音を発する。
次の瞬間、落とされた足を中心にして硬い筈の廊下が水面上に出来る波紋が現れたと思ったら勢い良く広がっていき、それは一定の大きさを保ちつつ建物の輪郭を歪ませながら壁に限らず天井にまで移動していった。
遂には空間ごと巻き込んで行き、崩壊してしまった世界から落ちてしまう。
俺の身体は重力に負けて落下をしているにも拘らず、目の前に居るシグナムらしき人物は変わらずに立っている。
この場面を第3者が見る事が出来れば、スカイダイビング中と言われれば納得する体制と空気の抵抗を受けている人間の前で無風状態の所に立っているかの様に平然としている人間が居ると言う奇妙な光景が目撃できただろう。
下からの蒼い濁流に揉まれながらも、徐々に立っていた場所から落下していく。
必死で体勢を整えながらシグナム(?)に助けを求めるべく顔を向ければ視線に気が付いたのか、悲しさを秘めた顔で呟いた。
「……次―――糸口を見―――くれ」
周りを包んでいた蒼の流れは、いつの間にか黒い円柱に変わり勢いは強まるばかり。
最早、入り口は遠く、そこに居た知り合い、もしくはもっと親しい仲だったみたいな人物の顔は判断出来ない位だった。
自分の力ではどうしようもなく、ただ落ちるだけの状態が暫く続いた気がする。
いつの間にか気を失っていた様で、瞼から微かに感じる光で眼を覚ました。
自分が生きている事と地面の確かな感触に安堵してしまう。
そして何か重要な事を忘れてしまった喪失感に捕らわれていると声を掛けられた。
「あの、大丈夫ですか?」
「えっ?」
目の前に居た人物は、驚く事に―――
体験版終わり
はい、と言う訳で体験版のβバージョンでした。
こんな感じで徐々に登場人物の心を弄って行きますよ。
校正はしていないので可笑しな点は多々ありそうですが
後でちゃんと直すので、たぶん大丈夫です。
実は最初の長ったらしい説明がどうかなぁとか思ってるんで
そこら辺は大幅に削ったりしそうです。
何とか夏に入るまでには、遅くとも本編は書き終えていたい予定です。
まぁ私は自分で決めた締め切りを守れた試しは無いんですけどね。
こんな感じの作品でも「金を払って読んでやっても良いぜ」と言う方はお楽しみに!
実用的な物を目指します。
脳味噌がいましたとさ。
『どうかしたのか?』
『この命令に適任なのは君だけしかいないのだがね』
『そうだ、君こそが相応しい』
薄暗い部屋の中で3つのシリンダーに入っている脳味噌。
どこからか響いてくる声で俺に確認を取ってきている。
正直何の事か分からないが、流れ的に承諾しておいた方が良いのだろうか?
「分かりました、お任せください!」
『うむ、期待しておるぞ』
『必用な事は、そこに置いてあるデバイスに記録されている』
『君の活躍に期待している』
期待通りの返事に満足したのか、微かに付いていた照明が消えて完全な暗闇になる。
ここにいてもどうしようもないので、さっさと退出。
廊下の窓から差し込んできている日の光に眼を攻撃されながら現状を確認する為に記憶を探っていくと、どうやらこの世界は高度な工学兵器で治安を守っている世界の様で、その中心にいるのが時空管理局。
そう、かの有名な『魔法少女リリカルな○は』に出てくる時空管理局である。
さらに記憶を辿っていくと、俺はエースとは行かないまでも愚直な仕事ぶりと管理局に対する忠誠心が高いと言う事で上層部のみならず、立場が近い上司や同僚から評価されているらしい。
ところが内面は自分の生活と安全さえ守られているのならば、他は心底どうでも良いと思っていた様だ。
今この身体に入っている俺とは少し違うと言う所に異世界の特異点を感じる。
そして今回、外面の良い俺に管理外世界からやってきた人間の忠誠心向上をさせろという命令が与えられた。
知識の通りにデバイスを起動させて確認すると、出てきたのは元の世界で見た『魔法少女リリカルな○は ストライカーズ』の登場人物達が映し出される。
詳細な手順は書いておらず期限は半年である事、機動六課の隊員には予め頭にマイクロチップが埋め込まれていてキーワードを言うとデバイスを含めて催眠状態にする事が出来る旨と、そのキーワード。
そして注意事項として、あまりにも本人の意思や考え方から逸脱した物を暗示として掛けようとすると、自我の崩壊を防ぐ為に警告が発せられると記されていた。
キーワードは全員同じで眼を覚まさせる時に催眠状態にされた事、言われた記憶はマイクロチップが自動的に封印して暗示内容だけが残る仕様。
俺は海の上層部から派遣された形になっており、機動六課には怪しまれる事は無いだろうとも書かれている。
最後の欄には御丁寧にも、『君が持っている管理局に対する忠誠心を、そのまま脳に叩き込んでやってくれ』とのメッセージまで書かれていた。
調教内容を任せられる程に信用されているのか。
とりあえずは記憶にあった自分の仕事場へ戻れば、上司に呼び出されて移動の辞令を渡される。
同僚に別れを惜しまれても完全な初対面であった俺に何の干渉も沸かなかったのはしょうがないだろう。
一応は角が立たない程度に社交辞令を言って周り、この世界の俺が10年ほど勤めた職場を後にした。
2日程の休暇で手続きやら引越しやらをこなして、いよいよ機動六課が入っている扉の前に到着。
少しの緊張と共にノックをすれば、中から聞き覚えのある関西弁が帰ってくる。
「入ってええよ」
「失礼します!」
部屋の中にはアニメで見たメインキャラクター達、洗脳を施す事になる人物達が出迎えてくれた。
高レベルな美少女達が揃っているのは壮観で、この人物達の身体を含めて心から好き勝手に出来ると改めて認識すると顔がにやけそうになる。
「本日から機動六課に配属されました――」
「あ、ええよ 名前はわかっとるから」
「…………」
「主はやて、それは流石に……」
「ええねんて、この部署はアットホームな雰囲気を目指してんねんから」
せっかく考えてきた自己PRが遮られてしまった。
シグナムの言う通りに形式だけでも黙って聞いておく場面ではなかろうかと思う。
そんな考えを他所に隊長殿は隊員を紹介していく。
正直に言って前世の記憶とデバイスの前情報があったから、今更な感じがしてしまって全く聞いていなかった。
考えてみると六課の主要な隊員が揃っているのは意外に稀ではないだろうか。
原作でも各人は色んな所に飛び回っていた記憶があるので、この機会を逃すと次に隊員が一同に介すのはいつになるか分からない。
ちょうど良いので催眠状態にするキーワードの効果を検証する事にした。
「――――――――」
「以上が機動ろっか…………」
俺が放った言葉を聞くや否や、意気揚々と隊員を紹介していた八神はやての表情と言葉から力が瞬時に抜ける。
他の人物を見回しても例外無く表情が消えていた。
「八神隊長、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です……」
声を掛けても帰ってくるのは意思が感じられない返事だけ。
刺激に対してはどうかと目に付いたフェイト・テスタロッサの胸を触っても、強く揉んでも眉一つ動かさない所を見ると、かなり深い深度の催眠状態になっているみたいだ。
デバイスであるリインフォースツヴァイを見ても虚ろな表情で浮かんでいるので、ちゃんと設定できているのだろう。
この状態で何か暗示を掛ければ、洗脳出来る手筈になっている。
事細かく言えば詳細なコントロールが出来るだろうが、曖昧な指示にはどこまで柔軟に対応できるのかも調べないといけない。
これはマイクロチップに期待するしかないだろう。
そして催眠時の記憶が封印されるとは言っても、必ず出来てしまう本人に取っては空白の時間に対する対応を考える必要があるが、これはデバイスの記録に残されない程度の用事をしていた記憶を上書きすれば良いかもしれないから、後で試してみよう。
上手くいったら今後はこの方法で記憶の補填をして貰おう。
流石にここで全員を犯すのは無理があるだろうから、軽く味見をするぐらいに留めておく。
いつもで洗脳装置を使えるのだから催眠状態で蹂躙するのは少々情緒が無いと思い、顔合わせのシチュエーションを有効に使わせて貰う。
そうと決まれば早速、記念すべき初めての暗示を掛けていく。
「この部隊では上層部からの命令で異動して来た男には握手代わりに、はだけさせた胸を揉ませるのが一般常識だ」
「………………」
意思がある状態なら一蹴どころか訴えられそうな暗示を掛けてみる。
一番大事なのは『一般常識』として認識させている事だ。
もし『部隊内の決まり』など一部の範囲内でしか通用しない物では、『一般的ではないし恥ずかしいから』との理由に抵抗されてしまうだろう。
あくまで『常識』と言う広く大きな範囲で当て嵌めて自分の羞恥心よりも従わなければいけない、それが世間では当たり前であると思わせるのが重要。
それと<他の隊員がやっているから自分も>と思わせて集団心理を利用するのも有効な手立てだ。
恐らく今はこれぐらいが本人達の意思を無理が少ない状態で捻じ曲げられる暗示だろう。
デバイスの情報を見る限りでは暗示装置の性能は高くとも、いきなり「ショーツを脱いで尻を向けていろ!」等の暗示を掛ける冒険は出来ない。
半年の期間と言えど慌てる事無くゆっくりと確実に洗脳を繰り返していけば、普通では絶対にしないであろう行為も楽に出来る筈だ。
一つだけ暗示を掛けてエリオとザフィーラはしなくても良いと言った後に、催眠状態から目覚めさせるキーワードを呟く。
「―――――――」
「……の隊員達や、よろしくしたってや!」
はやて隊長が催眠状態にされる前に言っていた言葉の続きを言い終わらせて、徐に立ち上がり他の隊員達の横に立つ。
そして表情こそ羞恥に染まっているがスムーズに制服を開き、ブラを引き上げて柔らかく揺れる美乳を曝け出した。
「さっ、存分に揉んでや!」
その一言を切欠に並んでいた隊員達も、やはり顔を赤く染めて胸を曝け出していく。
前世の記憶が確かならばアニメで見た時よりも大きく感じる美乳が出揃う。
モデル以上と言える美少女達が羞恥に染まりながらも胸を露出させ揉まれるのを待っている。
殆ど平らな胸から呼吸をするだけでも揺れてしまう巨乳まで、選り取り見取りの光景に鼻血が出そうだ。
まずは『隊長』と言う、この部署では一番高い肩書きを持っている、はやての胸から揉もうと目の前に移動してじっくりと眺める。
六課では中ぐらいの大きさでバランスは丁度良く、他の隊員に比べると心無し色が濃いと思われる。
いきなりガッツリと揉んでも良いのとはいえ、それでは正直面白くない。
ここは頂点に鎮座する柔らかい乳首を硬くさせてみよう。
まずは人差し指で胸の下から上に乳肉が凹まない程度の軽い力で撫でる。
「……んふっ」
繊細な刺激に息が漏れた、はやての顔を一瞥してから乳輪の色が変わって行く辺りで円を描く様に動かす。
更に両手全ての指先を使ってそれぞれの乳房全体を、またも軽く撫でる。
それを繰り返せば胸は刺激で張りを増して、乳首は硬くなっていく。
「な、なぁ、早く揉んでくれへんかな?」
胸から感じるむず痒い快楽に羞恥心が負けたはやては、より強い刺激を求めて懇願の言葉を発した。
普段から他人の胸を揉んでいる所為で快感には弱いのかもしれない。
わざわざ頼まれてしまっては揉まない訳にはいかないと思い、希望通りに真正面から掴んで縦横無尽に揉み始める。
「くはぁ!」
掌で硬く尖った乳首を乳房ごと捏ね繰り回されて、快感に染まった吐息を吐き出す。
下から掬い上げる様に、または正面からパン生地を捏ねる様に痛みを感じない力加減で揉む。
「くふぅん……」
「はやて…………」
気持ち良さそうな声と表情を見た誰かから名前を呼ばれても、快感に身を任せているはやて。
揉ませると暗示を掛けても性感を受諾しろとは言っていない事を考えれば、元から性的に手を出されるのを望んでいたのかも知れない。
このまま揉み続けても、これ以上の展開は無さそうだ。
それに初日とは言え仕事もしないといけないので、はやてばかりに時間を取られる訳には行かなかった。
名残惜しくても他の美乳を揉む為に手を離した時に残念そうな顔をしたのは見間違いではないだろう。
その後は予定通り順々に揉んでいったものの『一般常識』の一点だけに暗示を掛けたからか、それぞれが違う反応を返してくる。
シグナムは赤みが強い乳首を摘まれて僅かな反応を返すも無表情を装い俺の目から視線を外さずに見詰め続けてくるし、ピンク色がはっきりとしている乳首のシャマルは微笑を浮かべて揉まれるがまま。
元から肌の色が白くて乳首の色素も薄いフェイト・テスタロッサは普通に握手をする感じの表情を浮かべていて、アニメではメインの主人公であった高町なのはは日本人らしい僅かに茶色の乳首で苦笑いのような表情を。
若々しい薄いピンク色の乳首をしたスバル・ナカジマは心底恥ずかしそうに顔を背けている。
ティアナ・ランスターは濃いピンク色の乳首を摘まれる度に嫌そうな顔をしていた。
スバルと同じ様な薄い色の乳首を晒して恥ずかしそうに顔を俯かせているキャロ・ル・ルシエと、何故か睨み付けてきている、はっきりとしたピンク色の乳首を持つヴィータは正直揉む所が無い……
仕方が無いので指先で弄って立たせるだけにしておいた。
リインフォースツヴァイは、もう本当にどうしようもない。
幼女体系を修得して貰っても、ストライクゾーンの最低ラインがキャロでギリギリだから手を出す事は無いだろう。
ここまで綺麗な乳首を持つ人物が多いのはヒロイン修正だろうかと勘繰ってしまう。
表情は違っても羞恥に顔が染まっている事だけが同じだった。
一通り揉み終わり自己紹介も終わった雰囲気を察した隊員達は胸を仕舞い込んで、自分の仕事場に戻ろうとしている。
普通なら隊長の挨拶の後で解散するべき状況の筈だが、まるで恥ずかしさのあまり一刻も早くこの場を立ち去りたいと見える。
しかし、帰ってもらうのは後で困るかもしれない。
暗示装置は管理局に忠誠心を植え付ける為に使う物として渡された。
掛ける暗示は当然、忠誠心を目覚めさせる物であり消す必要は無いのが前提で、つまりは先程の暗示の様に全く関係無い物でもずっと残ってしまう。
万が一にでも俺以外の男が上層部から派遣されてしまっては、隊員達の美乳が出迎える事態になってしまう。
そうなってしまえば欲望のままに装置を使った事実がばれ、暗部等に消されてしまう可能性が大いに出てくる。
かといって、派遣された人間をこちらに引き込むのは絶対にしたくは無い。
美味しい思いをするのは俺一人で十分だし、秘密を知る人間が増えれば洗脳の事を隠匿するのが難しくなってしまう。
身に降りかかる危険は出来うる限り少ない状態を維持すべきだ。
そして先程の暗示を取り消す為に、再び催眠状態にするキーワードを呟いた。
「――――――――――」
「自己紹介も…………」
解散の音頭を言い掛けたはやての言葉が止まり、帰ろうとしていた隊員達の動きが止まって顔から表情が消える。
すでに扉を目指していた人が居たものの、立ち止まったのなら聞こえているはずだし問題は無いだろうと言葉を続けた。
「貴方達は俺と挨拶を交わす際に、胸ではなくちゃんと手と手で握手を交わしました」
「…………」
「その時思った感情は、女性として男と触れ合う際に感じる正常な物なので心配は要りません」
「…………」
何を言っても無反応で掛かっているか不安になってしまう。
この状態なら俺に対する高感度を好きな様に出来ても、全員が同じ様な態度では何の意味も無い。
それぞれが今抱いている気持ちを利用しながら暗示を掛けた方が、何倍も興奮するだろう。
嫌っているのなら身体だけを操り、自分から咥え込む様な状況とかは王道だ。
装置が高性能でも脳とは未だに全て解明された訳ではないので、徐々に尚且つ確実に洗脳をしていく事を心掛けないといけない。
その事を意識しながら記憶を操作して催眠状態を解除した。
「――――――――――」
「……終わった事やし、早速仕事をしてもらおかな?」
「分かりました」
「扱き使ったるで?」
「……お手柔らかにお願いします」
こちらを覗き込んで厭らしそうな顔を浮かべて、確認を取ってくる。
本当なら俺のほうが厭らしい笑みを浮かべたい気分だった。
「まっ、今日は地上本部の案内をフェイトちゃんに頼んどるから仕事は無いんやけどね」
「そうなんですか?」
「うん、そうだよ」
てっきり全員が退出したのかと思ったら名指しされたフェイトが後ろから声を掛けてきた。
「海とは建物の構造が違うからなぁ、迷ってしまわん様にと親睦を深めるついでに案内をしようって決めてたんよ」
「他の皆は忙しいみたいだから私が案内するよ」
「つまり暇人の仕事って訳やな」
「もう、はやてったら!」
「実際は私が無理矢理予定を捻じ込んだんやけどな!」
先程揉んだ胸を張って白状しているが、これは明らかに職権濫用だ。
地位を利用して他人の予定を変えるなんて、平和を守ると謳い文句を言っている人間がやるなんて到底理解できない。
好き勝手に予定を変えられてしまっては必ず何処かに悪影響が出るはず。
唯でさえ局員は忙しく、数も少ないのに管理外世界出身は仕事を軽く考えているのか。
と、この世界で俺が持っている外面なら思っておかないといけないだろうか?
公私混同しているのは明白だから、脳味噌様の報告はこの辺りから手を付けていけば良いかもしれない。
そもそも予定を守ってくれなければ困るのは俺だ。
暗示を掛けている時やら、性的な行為をさせている途中に誰かを来させる様な事態になっては堪らない。
「―――――――」
「は…………」
「…………」
フェイトが何か言い掛けていても、迷わず催眠状態へ。
もう変えてしまった予定は仕方が無いものの、緊急時以外で予定を無理矢理変えてしまわない様に暗示を掛ける。
後は装置の性能と本人の柔軟な対応を期待しておく。
「―――――――――」
「はやて、それは流石に駄目だよ!」
「いや、良かれと思ったんやけどな、良く考えたら色んな所に迷惑が掛かっとったわ……」
「そうだよ!」
「次からは気ぃ付けるわ……」
「う、うん……」
意気揚々としていた雰囲気は次第に薄れていき、最後は後悔を前面に出して言葉が小さくなっていった。
凄い勢いで萎んでいくはやてに戸惑ったフェイトが何とか励ましたおかげで、すぐにいつもの調子が戻る。
まさに親友だからこそ出来る遣り取りが目の前で繰り広げられていた。
そして、さり気無く隠していて気が付いていないらしいが、少し時間が経っているのにも拘らず俺の愚息は美乳を揉んだから臨戦態勢になって痛い。
案内と言う名目で、知らず知らずの内に自ら手の中に入ってくれるのなら断る理由も無い。
先程『握手』で体験したフェイトの身体の良さは劣情を、ぶつけるには格好の的だ。
「そんな訳でフェイトちゃんに付いて見学していってや」
「ありがとうございます」
「うん、付いてきて」
「ちゃんと覚えや~、私は…………書類仕事があるから」
「あははは……、頑張ってね?」
「では失礼します」
「ん~」
また元気が無くなった、はやてとツヴァイを残して部屋を出る。
まずは食堂から案内してくれると行って歩き出したのを見計らって、人気の無い廊下の真ん中で暗示のキーワードを呟いた。
暗示が効くのは六課だけらしいので、他に人が居ないのを確認してから言わないといけないのが難点だ。
「――――――――――」
「…………」
立ち止まったフェイトの前に回りこんで、顔を覗くと何も感情が浮かんでいなかった。
まだ暗示を掛け始めて日が浅いからあまり変な事はさせられないだろうが、果たして今の状態でどれぐらいの無理をさせられるかを知らなければならない。
精神崩壊する恐れがある暗示に発せられる警告についても知っておかなければならない。
流石に頭の中から警告音が出るとは思えないが、一度体験しておかなければ場を取り繕う事も出来難いだろう。
とりあえず近くにあった備え付けの端末で人気の無さそうな場所を調べて、催眠状態のフェイトをそのままに移動する。
誰も来ない様に鍵を閉め、実験を開始。
何をさせようかと考えてすぐに思いついたのが全裸にする事だった。
大抵の女は知り合って日が浅く、碌に知りもしない男に裸を見せるのは嫌だろう。
簡単かつ分かりやすく、暗示を掛けてみる。
「今すぐ全裸になれ」
「…………警告」
感情の一切感じられない声がフェイトの口から流れ出てきた。
先程、はやてで聞いた催眠状態時の平坦な物ではなく、機械じみてどこか恐ろしさを感じる声はマイクロチップから送られる信号を、そのまま言葉として発している感じだ。
「精神の崩壊する可能性が在り、その指示には従えません」
なまじ装置が高性能なばかりに心の奥底から嫌がる暗示にも力尽くで従わせる事は出来るものの、その際に衝突して傷付いてしまった心の修復は出来ず、最悪の場合は精神が崩壊する恐れがあって、それを防ぐ為の警告。
この言い方を聞くと他人が居る状況での、取り繕いは出来そうにもない。
やはり最初から人気の無い場所か、六課の関係者しか居ない状況で催眠状態にする必要がある。
それよりもデバイスや知識を思い出すとフェイトは本人を攻めるよりも、なのはやエロイとキャロから攻略した方が楽かもしれない。
原作やデバイスの記録を思い出すに、依存傾向が強い様だから『なのはが言うのなら』や『キャロが世話になったから』等の信頼している人物を理由にすれば簡単に落ちるだろう。
攻略の方針を決めて、今度は理由を付けて裸になるように暗示を掛けてみる。
これで駄目ならフェイトよりも警戒心も自我も強い他の六課隊員は岩を削る波の様に、ゆっくりと確実に信頼を積んで洗脳を施していかなければならない。
「フェイトがはやてから与えられて仕事は案内をする事、だから自分の身体を使って案内をしないといけない」
「………………」
ここまでは何の反応も無い。
良く考えなくとも案内するには歩く必要があるので、身体を使うと言う点では何の矛盾も無い。
だが、大事なのはここからだ。
「効率良く実行する為には全裸になって自分の身体を地図代わりにして教えるのが一番の方法だから、それを実行に移しましょう」
「…………警告」
世間の常識から外れていようとも理由を付けたので、ただ単純に裸になれと言うよりかは聞きやすいはずの暗示に警告が発せられた。
「精神が崩壊する可能性が在り、その指示には従えません」
握手代わりに胸を揉ませた事を考えると、駄目な理由は恐らく裸……、と言うか下半身を見せる事だけの筈。
上半身だけなら問題は無いと思われるが、男の裸に対しては変じゃないと暗示を掛けても拒否を示すのだろうか?
「貴女は私がはいている男物のパンツが無性に気になってしまい、どうしても見たくなってしまいます」
「…………」
「その好奇心は実際に確認するまで止まる事は無く、近くに居る私が履いている物を見せてもらいましょう」
警告が無いのを確認してから催眠状態を解くキーワードを呟いた。
表情に意識が戻って戸惑う様に辺りを見回したと思ったら、正面に居る俺の股間に視線が突き刺さる。
そして何やら恥ずかしそうに眼を泳がして、最終的には上目遣いに落ち着いた。
「あ、あの……ちょっと、お願いがあるんだけど良いかな……?」
催眠状態にしてから部屋に移動したからフェイトには瞬間移動の様に感じられたが、暗示によって優先度が『いつの間にか部屋に移動した』と言う疑問よりも『男物のパンツ』を見たい欲求に取って代わられてしまい、心と身体を守る最後の切欠を失ってしまった。
「何ですか?」
「えっと……、その君が履いてるパンツを……、その、見せて欲しい……の」
両手の人差し指を付き合わせながら恐る恐る聞いて来る姿は保護欲を刺激されてしまう。
これが不細工だったり30代以降の女がやると、迷わずアクセルシューターを全身に満遍なく叩き込んでしまっていた。
自分で暗示を掛けたとはいえ、こんな頼み方をされてしまっては見せない訳には行かない。
「良いですよ、……脱がしてみます?」
「えっ、…………うん」
躊躇いがちに提案を受けてズボンの前にしゃがみ込んだ。
身体の位置はフェラチオをするに丁度良い高さになっている。
六課で挨拶をした時に発散出来なかった欲求が陰茎の半立ちという形で残る状態で、性的な事に疎い美少女の顔が股間のすぐ前にあるのは衰えた分の興奮を補充するには十分だった。
「ん、……ん?」
ズボンを脱がして男物のパンツを見た時点で掛けた暗示の目的は達成され、そのまま興味は中で大きく勃起をしている陰茎に注がれる。
男の身体の知識を殆ど持っていないと言っても過言ではないフェイトは、自分の身体には無い不思議な光景に対して疑問の声を上げた。
「……あの、これは何かを入れてるの?」
「いや、入れている事には違いないですけど、フェイトさんが脱がせたからこんな状態になってしまったんですよ」
「えっ!?」
まるでお前の所為だと言わんばかりの言葉にフェイトの顔色が悪くなっていく。
慌て具合を見ると医務室に連絡を入れられてしまいそうな雰囲気が出ているので、この場で出来る処置を教えないといけないだろう。
「あっ、大丈夫ですよ、ある処置をフェイトさんにして貰えば治りますから」
「どうするの?」
「とりあえずパンツを脱がせて開放してください」
「わ、分かった……!」
俺の言葉を聞いて即座に返す姿から加害者としての罪悪感の度合いが如何に大きいか、手に取る様に分かる。
言われるままにパンツを下ろされると勃起していた陰茎が勢い良く飛び出してフェイトの鼻先を掠めた。
「きゃんっ!?」
上げた悲鳴に性的な拒否感は無く、精々がビックリ箱に引っ掛かったぐらいの声だ。
驚いた勢いで閉じてしまった眼を開けて、視界に入れたのは完全な大きさになった男の象徴。
普通なら悲鳴の1つぐらい上げる所なのに見詰める表情には嫌悪感は無く、逆に痛ましそうな雰囲気が強くなっていった。
心成しか震える手を恐る恐る伸ばして確かめるように優しく触ってくる。
「うっ!」
「っ、だ、大丈夫!?」
熱くなった所に美少女の少し冷たい手に思わず出てしまった声を聞いて、慌てて手を引っ込めたフェイト。
上目遣いで安否を聞いてくる顔には罪悪感で目頭に涙が溜まっている。
「大丈夫ですよ、冷たい手が気持ち良いのでもっと触ってください」
「わ、分かった……!」
「先の方が感じやすいので、そこからカリの辺りを重点的にお願いします」
「う、うん」
指示に従って亀頭とカリに指を這わせていく、
その動きはまるで腫れ物に触る如く優しい手つきで、刺激に関しては物足りないが今は精神的な興奮が勝っており、いつも以上の興奮が感じられた。
亀頭の上半分に女の子特有の細い指先を滑らせ、そのまま両手の指でカリの下から形を確かめる様に動かす。
繊細とも言える手付きで高まった興奮を正直に表す陰茎はカウパー液を出し始める。
「何か出てきた!?」
「それは気持ち良いと出て来る物で、それを出し始めたら後少しで良くなる合図なんですよ」
「そ、そうなんだ……」
「無害なんで先の方を中心に塗り込む感じで手を動かしてください」
「分かった!」
些細な変化にも敏感に反応するフェイトの初心さ加減を、微笑ましく感じつつも次の指示を出した。
乾いた状態だった陰茎に粘りのある液体が塗り込まれると、静かだった部屋の中に卑猥な音が響く。
匂いと感触に本人も気付かない内に興奮してきたのか、顔は赤くなり徐々に呼吸も荒くなる。
クローンとはいえ、女としての本能が顔を出してきたのを見て、今なら口を犯す事も出来るのではないかと思い、治療法の1つとして言ってみた。
「フェイトさん、このままでは時間が掛かりそうなので口を使ってくれませんか?」
「えっ……と、どういう事?」
「つまりですね、飴を舐める様に口に含んで刺激をして欲しいんですよ」
「で、でも…………」
通常の使用方法を知っているフェイトは、提案されて事に対して流石に拒否の姿勢を見せる。
だが、拒否の理由が汚いという事だけならば、それを取り除くだけだ。
「大丈夫ですよ、毎日風呂に入って綺麗ですし、汚れも付いていないでしょう?」
「う~ん、……そうだね」
「それにこんな状態にならなければ、問題は無かったんですけどね」
「うぅ…………」
「――――――――――――」
綺麗であると念を押した上で罪悪感を刺激しながら催眠状態へ落とす。
興奮して赤い頬になったまま無表情になったのを確認して、『本人が洗っていると証言をしたし、見た目も綺麗なので言われた通りにしてみる』との暗示を掛ける。
警告を発しない所を見るに、やはり汚いかもしれないという事だけが拒否理由だった様だ。
これだけでは不安なので、2つだけ暗示を追加して催眠状態を解く。
「――――――――――――」
「うぅ……、分かった、舐めてみる」
匂いを慎重に嗅ぐという、おそらく初めて見る物を口へ入れる時に大抵の人がやるはずの行動を例に漏れずやったフェイトはハッとした表情を向けてきた。
戸惑いがちに舌先を出して鈴口の少し隣を舐めて驚く。
「甘い!?」
そして『大きくなった陰茎から出る液体は甘く感じる』暗示を掛けられたが故の反応を示す。
舐める事に対しての拒否感を取り除いても、カウパー液や精液の味で嫌がられては元も子もないと思い掛けた暗示が功を奏した様だ。
嫌悪感が無くなったのに加え、予想外の甘さを感じたフェイトは止める選択肢をあっさりと放棄して一心不乱に舐める。
今までの温い刺激から一転して舌による熱心な愛撫を受けた陰茎は、急速に射精の準備が整っていく。
良くアイスクリームを舐める様にと例えられるが、まさにその動きで陰茎に舌が這いずり回る。
一番濃いカウパー液が出ている鈴口を舌の腹で撫で、味が無くなるや今度は亀頭の形に添って動かしカリへ移動、入念に味わいつつ唾液を塗り込んで竿の部分へ行く。
そこの味が無くなると、また鈴口へ移動して教えていないのにも関わらず亀頭を口の中に迎え入れた。
先程、先の方が感じやすいと言われた事を思い出してピンポイントに刺激を送って来る動きへ変化し、亀頭の裏から舐め上げて鈴口を軽く穿る様に尖らせた舌先を使ってくる。
ところが、それでは出口が塞がれてしまい新たなカウパー液が味わえないと分かり、今度は舌の表だけとは言わず裏までも使って亀頭を嘗め回す。
刺激をすればするほど甘いカウパー液が出てくるので、コツを探りつつ動きが大胆になる。
熱が篭った舐め方をされた結果、濃さを増した精液は口の中へ勢い良く流れ込んでいく。
「……うっく!」
「んぶっ!?」
急に出された粘液に驚いた表情を浮かべたフェイトは、精液の味を認識した瞬間に別の驚きを覚える事になった。
先程掛けたもう1つの暗示『精液は癖になる味わいで何度でも飲みたくなる』の効果が発揮されて口内を汚す精液を夢中で飲みだす。
恍惚とした表情を浮かべながら射精にタイミングを合わせて喉を鳴らしていくも、一回に飲み込む量が少ない小さな口では間に合わずに端から漏れ出してしまっている。
「んぐっ、ごくっごくっ……」
「うっ、ふっ、うぅ……」
蓄積された物が全て無くなって力を失った陰茎を吐き出すと、口の端に付着している精液も残さずに舐め取った。
「はぁ……ぁ…………」
「あの、ありがとうございます」
「あっ、うぅん、良いよ、私が原因だったしね……」
後味を堪能して飛んでいた意識を戻させて、一応礼を言っておく。
お陰で何故フェラチオをしていたのか思い出したフェイトだが、萎れた陰茎を捉えている視線と表情は明らかに終わってしまった行為に未練がある様だ。
しかし、あくまでフェラチオは治療行為の一環として行っていた事なので小さくなった状態では、もう一度やる選択肢は無く渋々と立ち上がる。
「もう大丈夫だよね?」
「えぇ、すっきりしました」
「良かった、大きくなったらまた私に言ってね、協力するから」
「えっ、お、お願いします」
始めた時は自分の所為だから処理をしないいけないと義務感を持っていたはずなのに、今では味を求めて積極的に行おうとしているのを見ると甘い物に対する女の執着心とは凄いなと思いながら催眠状態へ落とす。
それにしても精液に対する熱中具合は少し異常だったかもしれない。
依存症に陥らせない為に精液の味に関する暗示を解除した後、習得したフェラチオの技術は心の奥深くに封印させた。
そして、『この部屋に入ったのは地上施設の一般的な間取りが知りたいと言われたから』と偽りの記憶を上書きして催眠状態から戻す。
「……ん、こんな感じになってるよ」
「そうですか、分かりました」
眼に力が戻ったフェイトは偽者の記憶に従って、していたと思っている説明を終わらせる。
後はフェイトの案内を適当に聞き流しつつ、最終的には食堂へ到着した。
「ここが最後、六課の食堂だよ」
「分かりました」
「私としては美味しいと思うけど、はやては味に不安があるみたいだけどね」
「そうなんですか?」
「うん、昔から料理に凄い拘りを持ってたから、近い内に直々の指導をする計画を立ててるみたい」
記憶が確かなら、はやては子供の頃から料理を習得していて味にも五月蝿かった記憶がある。
それが忙しい今でも妥協する事無く発揮されているのか。
職権濫用の疑いもあるが、食事が上手くなるなら見逃しても良いと思う。
この世界に関わらず地球で飲食店を営んでいれば洗脳されて犯される事など無かったはずなのにな。
振り回されて被る不幸は続いているらしい。
「私は、はやてに案内が終わったって連絡を入れてくるから休んでて」
「分かりました」
混雑する時間帯が過ぎた食堂で忙しく働いているのは厨房で仕込みをする料理人たちだけで、食事スペースには人が殆ど見当たらない。
適当な飲み物を注文して、歩き疲れた足を休める。
決められている職務時間を六課観光にほぼ全て費やしてしまった様だ。
人が来ない場所の目安も付けられたのは、幸先が良い証拠だろう。
いつの間にかアニメの世界に来てしまった時は如何した物かと思ったが、美味しい思いが出来るのなら大歓迎だ。
洗脳装置に付いて知って置いた方が良さそうな事も分かったし、これからが楽しみで残弾を出し切った筈の股間が最充填されそうになる。
この後の性的に明るい未来を想像して表情を緩ましていると、フェイトが後ろから声を掛けてきた。
慌てて表情を戻して頬を解しておく。
「どうしたの?」
「いえ、何でも無いです」
「そう」
不振がる様子も無く飲み物を持って正面に座る。
「はやてが今日は歩き疲れただろうから、直帰で良いって言ってたよ」
「そうですか、そんなに疲れてないんですけどね」
「体力あるね」
「普通ですよ」
戦う人間がこのくらいで音を上げてしまっては戦場で使い物になるはずも無い。
だが、訓練の時でさえも身体的な強化を普通に行っている現状では言っても無駄だろう。
「粗方は回ったけど覚えられた?」
「まぁ、デバイスもある事ですし問題はありませんよ」
「そう良かった、これからよろしくね」
「こちらこそ宜しくお願いします」
世間話に花を咲かせた後、フェイトは仕事に戻って行った。
一方、仕事を任されていない俺は自分の部屋に帰り、脳味噌さん達用の報告書の製作に取り掛かる。
書く内容は、職権濫用をしていたので今後はしない様に暗示を掛けた事と、意思が意外に強いから徐々に洗脳を施す旨を記して送信した。
細かい荷物の整理をして寝ようかと思ったら脳味噌さん達からの返信が届く。
その早さに、付き合いたての恋人を想像して気分が悪くなってしまったのは消したい……
書かれている内容は職権濫用について確認した事、思い上がりを諌めた事に賞賛する言葉と、日毎の報告ではなく結果で成果を示して欲しいとの内容だった。
駄目だったら事細かく報告を求められている筈だから、初日とは言え相手が満足の行く物を出せた様だ。
日毎に出さなくて良いと言ってくれたのも楽で良い。
明日の予定は確かはやてに付いて事務作業の流れを教えて貰う手筈になっているから、今からどんな事をするか考えておこうか。
あれこれ考えていれば、いつの間にか眠気に負けた意識は沈んで行った。
その2
「おはようございます、八神隊長」
「はやてで良いでぇ、そっちの方がアットホームな感じがして良いやろ?」
「……――――――――」
六課の部屋に到着して中に居たはやてへ挨拶をしたら、こんな事を言ってきた。
今は仕事中だから、けじめは付けておきましょうねと人の事を言えないのに矯正する暗示を掛けた。
細かい事かも知れないが周りの目を考えるならば、例え人目に付かない所でも呼び方はしっかりしておかないと要らぬ言い掛かりを付けられるかもしれない。
脳味噌からの極秘任務は俺しか知らないはずだから、変にプライドが高い末端職員の相手をするのは時間の無駄だ。
「おはようございます、八神隊長」
「おはようさん、今日は六課の書類仕事の流れを教えるから、ここに座ってや」
既に必要なソフトが立ち上げられているデスクに案内される。
椅子に座ると後ろから明らかに無駄と分かる手順や、要らない操作を指示してきた。
必要以上に手順が多くとても覚えきられるものでは無い。
「あの、これを全部やるんですか?」
「やるんよ、海と違って地上はこんな感じで書類を出さなあかんて言われてなぁ」
「はぁ…………」
「これが地上の初動が遅い原因の一端やのに気ぃ付いてへんのかな?」
ぶちぶち文句を言い出すはやてには悪いが、海も地上も書類の流れと必要な記入は同じだ。
裏事情を知っている俺から見れば、機動六課の設立に反対を示していた地上幹部の嫌がらせ以外の何物でもない。
はやての見えない所で通常の書き方をしていれば、六課での仕事に関しては問題ないだろう。
この覚えにくい作業を教えて貰っている状況は使える。
「――――――――――――」
「やっぱり私が…………」
次々に出てくる愚痴を無視して催眠状態にする。
物を効率よく覚える為には手取り足取り教えて貰うのが良いだろう。
更には強い印象を一緒に与えると記憶に残りやすいと過去に何処かで聞いた記憶あるから、それを利用する様にとの暗示を掛けて催眠状態を解く。
力の戻った顔で愚痴の続きを一通り言った後、顔を赤くしながら暗示で刷り込んだ知識を披露してきた。
「流石に普通に教えたんじゃ覚えられへんやろうから、特別なやり方で教えたるわ……」
「特別……ですか?」
「そう、特別やで?」
そして服を徐に脱ぎだした。
元から性に興味津々な、はやてはこういう暗示にすんなりと掛かってくれる。
「どっかで聞いたんやけど、物事を効率良く覚えるんは強烈な印象を与えながら手取り足取り教えるんが良いねんて」
「そ、それが……?」
「だから、うちのおっぱいを見ながら教わった方が早よ覚えられるんとちゃうかな?」
「うっ…………」
「シグナムには及ばんけど、結構良い形と色やろ?」
「……はい」
初心な反応を返していると、はやても興奮したのか自分の胸を持ち上げて乳首を摘む。
熱っぽい視線を向けられて満足したのか、後ろから抱き着いてきてコンソールの上にある手を握ってきた。
首には程好い乳房の柔らかさを感じられて、少し横に顔を向ければ眼に前に綺麗な乳首が見て取れる。
「早速、教えるから画面を見てな」
「は、はい」
「ぅんっ!」
勢い良く返事をした拍子に息が掛かった乳首からの刺激に声を上げた。
最早、画面を見る事は無く横に向けたままで説明を受ける。
それを注意する所か、俺の荒くなってきた息が当たる位置を探して修正してくる始末。
穴が開くほどの視線と柔肌を撫でる空気に、柔らかく縮こまっていた乳首は硬さを増して尖っていく。
誘惑に負けてしまい。舌先で舐めた途端に押し殺した悦声が頭の上から聞こえてきた。
「うぅん!」
唾液が塗りたくられた乳首は半分だけヌラヌラとした光沢を放ち、水分が蒸発する時の冷たさに反応して集る血液も増していった。
舌で絡め取った乳首を引き寄せて口に含むと、声に余裕が無くなると共に高くなっていく。
「うくぅん……」
それでも辛うじて説明を続けられているのは、立場が上であるプライドだろうか。
空腹時の乳幼児の様な吸い付きを受けて、重ねられている手は強く握られてしまい動かなくなっていく。
表情こそ頭上にあって確認出来ずとも、説明をする事の無くなった代わりに何かを耐える息遣いを聞いて、かなりの快感を得ているのが簡単に予想できた。
口内で、はやてが発する無言の希望通りに愛撫をしていると、悦声を出すまいと頑張っていた唇が負けてしまった。
「くはぁ~ん!」
一度だけの大きな喘ぎ声を出したと思ったら、慌てて口を手で押さえた。
普通ならば恥ずかしがるなりして離れるはずの状況でも、そんな様子は全く無く。
何度か深呼吸した後に、何事も無かったかの様な態度で説明を続けて変わったのは、より密着して乳首を咥え易い所に持って来る事だけだ。
隊長殿の要求に応えるのは吝かではないが、これでは俺の欲求が溜まるばかりで辛い。
ガチガチになった陰茎は早く自身と欲望を開放しろと主張を受け、はやてから見れば丸分かりなのを知りながらもズボンのチャックを開けて亀頭が少し出る程度に引っ張り出した。
「っ!?」
息を呑んだ気配を感じても無視して、カリ弄りながら再び乳首を口の中へ迎え入れた。。
はやてには不意打ちに近い刺激で再び声が出そうになるが、とっさに指を噛む事で耐え忍ぶ。
「くっ、ふぅっ……ん」
その後も吸い付き、舌先で弄びながら陵辱を続ける。
だが、亀頭しか出せていない状態での自慰は満足には程遠い。
更に時間を掛けすぎた所為か、昼にセットしておいたアラームがなってしまった。
「あちゃ~、もうこんな時間かぁ」
残念そうにアラームを止める。
肩に感じていた柔らかな重みが去っていき、結局は溜まった欲望を放つ事は叶わなかった。
教わった書類の制作方法は胸に集中しすぎて殆ど覚えられなかったのは、はやても分かっており期待を込めた上目遣いで乳首を弄りながら、もう一度教わることを提案してくる。
「やっぱり一度だけやったらあかんぽいなぁ、もう一回教えたろか?」
「……いえ、デバイスに記録しているので大丈夫ですよ」
「あっ…………」
全く気が付かなかったとばかりに停止してしまった。
そもそも、こんな生殺し状態が続くのは勘弁してもらいたい。
仕事を教わると言う理由がある以上は、本来の目的ではない性的な行為は装置からの警告が出る可能性があり危険だ。
「あ、あははは、そうやんな、忘れてたわ……」
やっと動き出したはやては、羞恥に染めた顔で乾いた笑い声を発した。
何処か、ぎこちない動きで脱いでいた上着を着て後ずさりながら扉に向かっていく。
「わ、私は、お、お昼ご飯を食べてくるから、デバイスに記録した物で復習をするなり昼食を取るなりしてやっ!」
真っ赤な顔で有無を言わせない迫力を纏わせて言い切る。
午後の仕事について聞こうと口を開く前に、凄いスピードで食堂へ走り去って行った。
主の行動に呆然としていたリインフォースも正気に戻り後を追っていき、残ったのは溜まった欲求を抱えた俺だけになってしまった。
警戒をしすぎた所為でチャンスを逃してしまった感が漂う。
どうせ警告が出てくれるのだから、もう少し踏み込んだ暗示を掛けた方が良いのかもしれない。
部屋に一人残された俺は寂しく、そう考えた。
いつまでも凹んでいては進む物も進まないと最近、味が向上した食堂に向かう。
職員達が賑わう食堂へ着くと眼に入ったのは孤立したはやての姿。
嫌われて一人になっていると言うよりは、頭を抱えてうんうん唸っている奇行を見て避けている様子だ。
近くにティアナとスバル、キャロとエリオ、そしてシグナムが居たので相席を頼んでみる。
「ここ良いかな?」
「あっ、良いですよ」
最初に気が付いてくれたキャロの言葉に甘えて座った途端に色んな視線が突き刺さってきた。
一番強いのがシグナムの鋭い視線と、ティアナの胡散臭そうな人を見る様な視線。
「あの、何か?」
「……確かお前は主に仕事を教わっていたはずだな?」
「えぇ、そうですね」
「主の様子が可笑しいのだが、何かしたのか?」
答えによっては今ここでと、言葉が続きそうな雰囲気で問い詰めてきた。
シグナムを含むボルケンリッターにとって、はやての存在はもっとも大切な存在だという事は知っている。
だからこそ、あの変な様子に異変を感じているのだろう。
正直に乳首を咥えていましたと答えてしまっては、その瞬間に首が物理的に飛んでしまいそうなので当たり障りが無く、深く問い詰める気がなくなる理由をでっち上げないといけなくなってしまった。
「……書類作成の流れを教わっていたんですけど、ややこしいから一発で覚えられそうな方法を試したらしいんですよ」
「ほう……それで?」
「画期的な方法とか言ってたんですけど、デバイスに記録しておけば良い事を全く思いつかなかったらしくてですね」
「…………」
「その事を指摘したら、顔を真っ赤にして飛び足して行ったんですよ」
画期的な方法と聞いた時に僅かな表情の変化が見られた。
内容が不明で、どう見ても主の異変の原因でありそうな事に引っ掛かった様だが、実際にその事を聞いてきたのは意外にもスバルだった。
「方法って何ですか?」
よく知る性格通りに勉強に対しての苦手意識を持っており、出来るなら楽をして勉強をしたいのだろう。
しかし、言えるはずも無いので、はやての様子を盾に言葉を濁す。
「俺は別に恥ずかしくは無かったけど、隊長があんなに恥ずかしがっているのに言っても良いのかなぁと……」
「いや、主があんな反応をしているのなら無理をして言わなくても良い」
「えぇ……」
主が一番のシグナムは、俺の狙い通りに深く聞くのを止めた。
年齢的に素直なキャロとエリオや、難しい事は考える前に力で解決したがるシグナムとスバルは微妙に質問を摩り替えられている事には気付きもせず、この中では気付きそうなティアナはスバルへ説教をするのに忙しく、怪しむ素振りは無かった。
無意識ながらも手の掛かる妹の様に思っていて、楽をすればすぐに堕落してしまうのを見抜いて注意を飛ばすのだろう。
それに加えて胡散臭いと思っている相手にも挨拶は交わすティアナは実の所、良い子なのかもしれない。
「今は恥ずかしさを整理している途中みたいだから、一人にして置いた方が回復は早いと思いますよ?」
「……そうだな、主に恥を掻かせた事は許せないが、主自身が原因なら私にどうこうする事は出来ない」
「でも、このまま放っておいたら変な噂でも立ちそうですよね?」
「スバル!!」
「慰めてくる!」
ある意味、無邪気なスバルの言葉を聞いて素早い動きで、はやてに向かって行ったシグナム。
しかし、慰めは功を奏さず帰って羞恥心を増大させて、食堂から走り去る主の背中を見送るだけに終わった。
肩を落として戻ってきた姿に適当な気遣いの言葉を掛けつつ食事を済ませた。
この後も六課で書類仕事をする為に戻る後姿へ、鋭くした視線をシグナムに向けられていた事には気が付かなかった。
午後
羞恥心から回復していないはやてから仕事を任されて近くの資料室を尋ね様と人気の無い廊下を寂しく歩く。
極度に嫌われている質量兵器に関しての資料という事もあり、保管されている場所も臭い物を遠くに置きたがる人の性質を良く表していると感じる程に遠い。
最近は書類仕事の相手ばかりで現場に行く機会が極端に減った状態で、この距離の移動は嫌でも自分の体力が落ちたのを実感させられる。
基礎トレーニングも睡眠時間を削ってまでやる物ではないし、朝早めに起きるのも覚えないといけない事が大量にある状況では難しそうだ。
これから先、性欲だけは問題無く発散出来そうなのが唯一の救いかもしれない。
そんなことを考えている内に目的地に到着するも、その扉は開きっぱなしになっている。
本局内である物の原作の知識では敵に侵入され放題だった記憶を掘り出して、自然と警戒しながら慎重に室内を窺う。
室内への突入マニュアルに従って左右の安全を確認して音を立てない様に気を配りながら奥へ進むと見覚えのある赤い髪の少女体系が目視できた。
後ろからでも分かる隊長服で、特徴ある三つ編みに警戒を解いて話しかけようとしたが即座に思い止まる。
そう言えばヴォルケンリッターは夜天の書の守護騎士。
主であるはやてで性欲が溜まったのであれば、ヴォルケンリッターで発散させるのが筋ではなかろうか?
お互いが持ちつ持たれつの関係だったら、片方が原因の物は残った方が責任を取るのは道理。
そう考えて、気配を察知されない為に扉付近へ戻ってキーワードを言った。
言葉で催眠状態に出来るのは、聞こえてさえいれば良いのが便利だ。
「――――――――」
キーワードを聞こえる大きさで言った配意が、後姿では特に変化は見られない。
確認する時に近寄った際、無意識に忍び足で歩いたのはしょうがないだろう。
「ヴィータ隊長?」
「……はい」
覗き込みながら声を掛ければ、催眠状態特有の平坦な返事が返ってきた。
今は、はやての所為で溜まってしまった性欲を発散出来さえすれば良いのだ。
その為に一つの暗示を掛けて催眠状態から戻す。
「―――――――――」
「…………」
眼に力が戻ったヴィータは相変わらずモニターに映し出されている資料を読んでいる。
それは俺が横から覗き込んでいても変わる事は無い。
肩に触れても手を目の前で振っても、挙句に尻を触っても眼を向ける事すらしてこなかった。
余計な会話をする事も無く、ヴィータの身体を使って性欲を発散させる為だけに俺の存在を一切認識出来ない暗示。
自分しか居ないなら他人に触れられる筈も無いのは当然の事。
一人である思い込みと合わせれば、唯でさえ暗示に掛かりやすいプログラム体を持つヴォルケンリッターは一溜まりも無いだろう。
記憶の上書きと高性能な装置の前では暗示さえ通れば怖い物は無く、ヴィータが消えても本人は処女を不当に汚された事実を知る事は無い。
過去の夜天の書の持ち主も色欲がある男の主だったのなら絶対に犯した筈の小さな体を好きに出来るとは嬉しい限りだ。
シグナムと同じぐらい男を寄せ付けない雰囲気を持つヴィータの処女を奪うのに興奮の度合いが高まる。
一般的な透明人間以上に感知されないのを良い事に尻の上で動かしていた手の動きを大胆にしていく。
表面を撫でる動きから弾力を確かめる様に力強く揉めば、短くピッタリとしていたタイトスカートは捲くれてしまった。
不必要に色物ではない純白のショーツが露になり、サラサラとした手触りの布に包まれた小さな尻は手の圧力を弾力のある張りで押し返してくる。
小さい割には色気があるショーツを下ろし、腰を後方へ突き出させると少しばかり色素が沈殿している肛門と無毛の秘裂が現れた。
柔らかな大陰唇を指で開くと、果たして本当に陰茎が入るのかと思うぐらいの狭そうな膣口の奥に処女膜がヒッソリと存在しているのが確認できる。
指をそのままにして性器全体を舌で覆い、文字通り味見をしていく。
皮に隠されている淫核を始め、尿道口と小陰唇のヒダ、そして小さな膣口に唾液を塗りこみ体の性感を引き出し、念入りに動かせば薄く感じていた汗に替わって愛液が流れ出てくる。
指で淫核を弄りつつ、膣口を少しでも拡張出来る様に舌先を挿入させて弄ぶ。
最大の性感帯を弄られて所為か、すぐにでも達しそうに胎内の収縮を繰り返すようになってきた。
しかし、腰から上は下半身の事情に気が付かず、資料を読み耽る凛とした表情を保っている。
サーチャーを飛ばして見える映像を横目で確認しながら、性器への攻めを加速させていく。
膝が細かく震え、愛液が増えた膣内は圧力を増してきており、とっくの昔に顔を出していた淫核を力を込めて摘まれたのを切欠に潮を噴出して絶頂に達した。
崩れ落ちない様に足を踏ん張っているのは産まれたての小鹿を見ている様だ。
そろそろ我慢の限界になっていた陰茎を開放して絶頂で解れている筈の性器に宛がい、細い腰を掴み力を込めて押し進めて亀頭が小陰唇を分け入って膣口に減り込んで行く。
充分過ぎる愛液を纏わり付かせ、異物の進入を必死で拒む膣内へ陰茎を差し込み、抵抗すら心地良いと感じながら最後の防衛線である処女膜に接触する。
城壁と言うのは薄すぎるそれをジワジワと侵略していく。
今まさに純潔を汚され様としているのにも関わらず、ヴィータ自身はモニターの資料を読み続けている。
上半身と下半身のギャップに陰茎は太さを増し、膣壁の抵抗が強くなった気がした。
そして遂に処女膜は破り去られ、最奥の子宮口にまで侵入を許してしまう。
「んぐっ、…………ん、今のはあたしが言ったのか?」
辺りと見回して自分しか居ない事を確認しながら呟いたヴィータ。
破瓜と許容範囲を超えている熱い異物を胎内に迎え入れた所為で、体が黙っていられる限界を超えて思わず声が漏れた。
震えていた足は殆ど力が入っておらず、身長差から性器に突き刺さった陰茎で体が崩れ落ちない様に支えている状態になっている。
見た目通りの身体と同じく、子宮に減り込んでいるにも拘らず小さな膣は陰茎を根元まで飲み込ませられない。
再び資料に眼を通し始めたヴィータを尻目に、腰を支えてピストン運動を開始して本格的に犯しだす。
飛ばしたサーチャー映る、足を伝う破瓜の血に興奮は高まっていく。
突かれる振動で宙に浮いている足はプラプラと揺れて不安定である筈だが、上半身は仕事の出来る女の雰囲気を出していた。
「うくっ、あふっ、あっ、な、何……だ、声が……あっあっ、あぅっ!」
体が性器を突かれる快感を覚え始めたのが原因で勝手に出てくる悦声。
下半身で止まっていた性的な快楽は我慢できる量を超えて上半身に伝わり、体が勝手に性行為を甘受する。
ヴィータにとっては『誰も居ない室内で気持ち良いセックスをしている』感覚に捕らわれている筈だが、過去に経験していても闇の書だった時の影響で記憶が消え、夜天の書に戻り知識がリセットされた上に性的な情報への接触がはやてのセクハラ程度では、知識として知っている行為も実際に経験している感覚へ繋がらせる事は出来ず、ただ困惑してしまうだけに留まってしまう。
「くはっ、あっ、あっ、あっくぅ、ふぅ、うぅ」
一度絶頂に達している身体は処女に厳しい筈の動きも快楽に変換されてしまい膣壁の反応も、本人に意思に関係なく挿入された陰茎を締め付ける。
本来の機能を遺憾なく発揮して吸い付きを強める女性器を、徐々にピストンを激しくしていき根元まで入らない膣内を好き放題に陵辱していく。
時にはゆっくりと亀頭が抜けきる位にまで引き、纏わり付く小陰唇を楽しんで締め付けの強さを残す胎内に再挿入。
処女膜が在った特に狭い箇所をカリで広げながら突破させ、子宮口に鈴口を押し付ける。
スピードを上げてゴツゴツと子宮口を抉じ開けんとするかの様な突きを受けたヴィータは自分の体の異変にどうする事も出来ない。
遂には上半身を机に寝かせ、一人しか居ない部屋の中で下半身から送られてくる経験した事の無い快楽に何が起こっているか考えが纏まらない状態になってしまった。
狭かっただけの膣内は陰茎で拡張され性感帯として経験を積まされていく。
削られていただけの膣壁は健気にも陰茎を這いずり回る動きを見せるようになってきた。
精液を効率良く迎え入れ様と最奥に潜んでいた子宮も下り始め、ただでさえ浅かった膣がより浅くなる。
しかしそのお陰で柔軟性が増した胎内で子宮を押し上げながら突き入れて、根元まで挿入出来る様になった。
限度まで広げられている小さな性器は男を喜ばせる為の、そして生殖を効率良く行う動きを本能的に覚え始めたみたいだ。
不規則の動く胎内に陰茎の快感は増していき、今日は一度も出していない濃い精液が尿道を駆け上ってくる。
「あっ、くぁ、あぁ、あん、んん、うく」
スパートを掛けた腰の動きにヴィータの小さな尻は柔らかく形を変えながら衝撃を緩和している。
叩かれていると言っても良い位の勢いで興奮とは別に赤みを増していた。
抱えている腰は浅い呼吸を示す腹筋の動きを伝え、お互いの絶頂が近いのを感じる。
「はっ、はっ、はっ、くはっ」
その場から動いていないのにも拘らず、激しい運動をしたかのように舌を出している顔が横を向いたままで上を向き始めると膣壁の動きが更に激しくなってきた。
ヴィータの淫核を腰を掴んでいた片手で強く捻った瞬間に絶頂へ達し、今まで以上に強くなった膣の締め付けに我慢する事無く射精を開始する。
「はぁくああっ!!」
力一杯突かれた衝撃と同時に襲ってきた熱い種子を出された感覚に歓喜と快楽で終わらない絶頂を感じ続けるヴィータ。
そこに本人の意思は関係なく、ただ女の体が子孫を残す為の反応に翻弄される。
隙間無く陰茎を埋め込まれている所為で行き場が無なくなり、通常は精子だけが入る筈の子宮内部へ精液その物が注入されていく。
余韻で未だに痙攣をしている膣壁と子宮口の吸い付きで尿道に残っていた濃い精液は全てヴィータへと流し込まれていった。
尻が変形するまで押し込んでいた腰を引いて、力が失われた陰茎を引きずり出す。
腰の支えとなくしたヴィータは脚に力が入らない為にそのまま床へ崩れ落ち、その際に精液と愛液が付着している剥き出しの女性器がベチャッと厭らしい音を立てた。
重力に従って胎内を降りて漏れ出した白濁液を見たヴィータが朦朧とした顔で見詰め続け、殆ど無意識の内に指に付けて匂いを嗅いでしまう。
「はぁ……はぁっ……、…………何だこれ?」
リセットされた知識に当てはまる物がないので、困惑を深くしていくだけに終わる。
本人は生理の下り物かも知れないと頭の端で考えるが、殆ど人間に近づいたと言っても未だプログラム体では生理事態がある筈も無く考えは否定された。
シャマルは正体を知っているだろうから、聞かれれば犯されてしまった事に気付いてしまうかも知れない。
それは大変不味いので、いつも通り催眠状態にしてから記憶の上書きを施していく。
『ここではずっと一人で資料を読んでいた事』で空白の時間に対しての処置、そして『日頃の疲れが一気に出てきた』との暗示を体力消耗と倦怠感の理由として掛けた。
出した精液に対しては普通の人間で使える『生理で出る下り物』と言う理由が使えない為に、仕方なく綺麗に拭いて処理をしておく。
後は、はやてに頼まれた資料を探して扉が閉まる音を聞けば催眠状態が解ける様にしておけば完璧だ。
そして無事に資料を探し出して誰も居ない事を確認しながら部屋を出て扉を閉める。
念の為、扉に耳を付けて中の様子を窺っていたが、悲鳴を上げたり激怒する様な犯された時の反応は聞こえず、微かに体の疲れを呟いただけだった。
入り口に近付いてくる足音が聞こえて、あたふたしながら偶然通りかかった様子を偽る羽目になる。
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
「いえ、急に出てこられたのでビックリしたんですよ」
「あぁ、ここら辺は滅多に人が来ないからなぁ」
「そうなんですよね、一人だと思って気を抜いてましたよ」
「戦場だったら死んでてたな」
「こんな所が戦場になるのは勘弁してください」
隠し切れなかった慌て具合に疑問を投げ掛けられたが、何とか即興の理由で乗り切れた。
大して嫌われていない故にヴィータが本来持つ、害が無いと判断した人間には社交的な性格を遺憾なく発揮して会話が弾む。
まさか目の前に自分の性器を陵辱して中に精液を出されたとは夢にも思わないだろう。
本人の与り知らぬ所で犯した快感を思い出した所為で勃起を抑えるのが大変だ。
何とかヴィータが分かれる通路まで我慢して、自分の仕事に戻った。
自室への帰り道
今日の仕事も終わり、溜まっていた性欲も上手くヴィータを使って処理出来た事に満足して意気揚々と自室を目指しているとシグナムに呼び止められた。
「待て」
「はい?」
戒心の視線で油断なく近寄ってくる。
そこまで警戒される事をした覚えが……、あるにはあるがシグナムには知られていない筈。
単純に、昼に見たはやての異常で何かを察知したのか、それとも他のルートで警戒をされてしまう様な事を知ったのか分からない分、自然と受け答えは慎重になってしまう。
「1つ聞くが、お前は何の目的があって主はやてに近付いてきた?」
「……いえ、唯の上司からの辞令で部署異動しただけですけど?」
「隊長と副隊長である私達の様にリミッターを掛ける事によって戦力を抑える条件でやっと認められた六課なのに、お前程の局員が何の裏も無く来る訳が無いだろう」
「…………」
六課設立に渋っていた上層部が掌を返して、そこそこ評価されている人間を捻じ込んで来た事に不信を抱き、昼に見たはやての姿と人材保有制限の事も合わせて憶測は疑念に変わり、調べるよりも直接聞く事を選んだのだろう。
だからこそ今の様な人気が無い時間と場所を選んで声を掛けて、必要ならば物理的な排除も視野に入れているのかも知れない。
管理局員としては有るまじき行為でも、聖王協会を後継人に持つ『夜天の書』のヴォルケンリッターなら、ある程度の無理は利くと思っているのか。
暗示で強制する前のはやてによる職権乱用が良い例だ。
『A's』時代はもう少し慎重だったような気がしたが、貴重な物と強い力に権力を持つ組織のバックアップが揃うと、ここまで力に物を言わせた簡略的な考えと行動が出来るのか。
それに、いくら上司と言っても聖王協会の権力が届く範囲の人物から出された辞令だと思い込んでいる様だった。
上層部どころか管理局を支配している頭、と言うか脳味噌のコネがあるとは思いも寄らないだろう。
「どうした、図星な…………」
「――――――――」
焦れて言葉を重ねて来た所で催眠状態へ。
曲がりなりにも六課でこれから一緒に仕事をする人間を疑うなんて信じられない。
俺は大変傷付きました。
あんな程好いプロポーションの八神隊長に危害を加えると思われたなんて……
何と言う大正解!
鋭い洞察力は伊達にヴォルケンリッターのリーダーではないという事か。
疑いを晴らすのは後で良いが傷付いた心を癒やして貰わないといけないな。
「―――――――」
「…………のか?」
催眠状態を解かれたシグナムの眼に映るのは、少しばかり悲しそうな表情をしている様に見えているはず。
実際は殆ど変わっていないが、暗示で『自分が疑った人間は傷付いた表情に見える』と言う暗示を掛けてある。
俺限定の効果なのは言うまでも無い。
そして闇の書時代に管理局員を襲ってしまった事を思い出させて、制服を着ている人間に負い目を感じる様にしておく。
シグナムにとっては自分の主に危害を加える危険が高い男を追い詰めたと思ったら、いきなり悲しい顔をされて眠っていた罪悪感が呼び起こされているだろう。
敵意が溢れんばかりに睨み付けていた眼に動揺が走り、どこと無く困った雰囲気を出し始めた。
「うっ、うぅん……」
「…………」
何も言い返さずに見詰めていたら、罪悪感に耐え切れなくなって目を逸らす。
あわよくばここで始末しようとしていた相手にする事ではない。
「酷いな、いくら主を守る為のヴォルケンリッターとは言え、無実の人間に疑いを向けて自分から敵を増やそうとするなんて……」
「そ、そう言う訳ではないんだが……」
視線と合わせて言葉でも罪悪感を突く言葉を投げ掛ける。
完全に狼狽した様子で何とか言い訳をしようと顔を上げて反論を試みてはいるが、顔を合わせるとすぐに視線を地面へ逸らしてしまう。
口篭りながらも先程の勢いを取り戻した上で会話の主導権を握ろうと言葉を出そうとしては止めるを繰り返している。
好い加減に止めないと、いつまでもこのままになってしまいそうだ。
しかし、言い訳を考えるのは面倒だから、もう一度催眠状態にして『自分が納得のいく説明を受けた』との暗示を掛けておく。
そして『疑われた傷を治すのは自分の温もりを与えながら謝ると効果的』と『恥ずかしいと思うよりも罪悪感を払拭する方が大事』の暗示を掛けて催眠状態を解除する。
「…………す、済まない」
表情に力が戻って一番に出した言葉は謝罪だった。
『納得のいく説明』を受けたシグナムは疑って掛かった自分を責め、何とか慰める手段を考える。
そして意を決した表情で、悲しそうに俯いて下を向いている俺の頭を優しく柔らかな感触が包み込む。
掛けられた暗示を思い出して、とりあえずは抱き締めて温もりを与える事にした様だ。
「済まない、私の早とちりだった様だ」
「…………」
「お前は確かに信頼出来る男だ」
「シグナム隊長……」
主演男優賞の受賞者が見れば鼻水を吹いて笑う演技でも、高性能な装置によって安らいだ雰囲気に見えたシグナムは優しく微笑み返す。
抱き締められたのなら、こちらも返すのが礼儀と言う物。
大体同じぐらいの身長であるにも拘らず、細く引き締まった腰に手を回した。
「……私が悪かった、どうか許してくれ」
「いえ、シグナム隊長はヴォルケンリッターとして当然の事をしたんです」
「それでも相手の事はちゃんと調べるべきだった」
より多くの温もりが伝わる様に豊満な胸へ押し付ける力を強くする。
俺も腰に回していた手を徐々に下へ移動させ、尻を被せる程度に触ってみた。
「んっ」
流石に怒られるかと思ったがプログラム体なのと、暗示に力で抵抗はない。
それどころか逆に身体を密着させてくる始末だ。
温もりを与えると言う目的がある為に、俺からの要求は受け入れる事にした様だ。
恐る恐る手を動かして、明らかに揉む動きをさせてもその態度は変わらない。
「それでお前の心が癒やされるのなら良いぞ」
何と済し崩し的に行為を見逃すのではなく、許可を与えてきた。
謝る為に抱き付いている事と自分の罪悪感を消すと言う免罪符があるものの、大胆である事には変わりない。
元々、曲がった事が苦手なシグナムは、なぁなぁで許してしまうよりは自ら許可を与えた方が良いと思ったのだろう。
(以下は体験版様の展開です)
「かかったな、アホが!」
「何!?」
抱きついた状態から投げられる俺の体。
ご丁寧にも力の強化をしている辺りに本気度を感じる。
中を舞って背中から叩きつけられた衝撃で軽い呼吸困難に陥ってしまう。
「ゲホッ、ゲホッ、一体何を!」
「このまま抱かれると思ったら大間違いよ!」
暗示が効いている状態で、ここまでハッキリとした拒否を示すとは意志が強いにも程があるだろうと思ったが、何やらいつもと様子が違う。
腕を組んで仁王立ちまでは実際に遣るかもしれないものの、一番の違和感は表情だ。
先程の優しい微笑みは消えて、どや顔に変わっていた。
「ふふふ、今回はここまでだ」
「……何がですか?」
「体験版主人公であるお前はこの先には行けないのだよ」
「体験版……?」
特徴的なピンク色の長いポニーテールを解きながら言い放つ。
紐を捨て去り窓際へ移動すると、何処か懐かしさを感じる雰囲気を出している。
「お前は覚えていないのかも知れないが、私もだいぶ待った」
「何の事ですか?」
「ふふっ、敬語を使われるのはくすぐったいな」
暗示で変わった状態でも、シグナムが本来持つ凛とした騎士の本来の状態でもなく、まるで全くの別人になった印象を受けてしまう。
しかし、目の前に居るのはヴォルケンリッターのシグナム。
これは間違いない。
ここで会う前に瓜二つの人間が変わってしまっているのなら判断は出来ないが、これほど似ているのならば少しは話題になる筈だからそれは無いだろう。
もし出来たとしたら最高評議会が真っ先に使っているだろうし、そして俺が洗脳を任されるはずが無い。
「まぁ、私は思い出すまでずっと待っているがな」
「思い出すってな、ぐっ!?」
問い詰める為に足を踏み出した瞬間に頭痛が襲ってくる。
我慢出来ない程では無いものの、考えが纏まらない。
聞きたい事はたくさんある。
何故、暗示が効かないのか。
何故、そんなにも雰囲気が変わったのか。
何故、わざわざ意味深な事を話すのか。
そして、何故、何時か何処かで見た懐かしさを覚える顔をしているのか。
それらの疑問は言葉として出る事はなく、ただ呻く事で精一杯だった。
最早顔は完全にシグナムとは別人になっており、髪の色と服装だけが残っている。
「私から言う訳にはいかない」
「ぐっ、うぅ……」
「でもお前が思い出すまで、ずっと待っている」
哀愁漂う顔をしたと思ったら、今度はショーツが見えてしまっているのも構わずに足を高く上げて廊下を強く踏み付けた。
普通ならば『ダンッ』と重い音が響く筈の床が、高いのか低いのか良く分からない『コーン』と聞こえる音を発する。
次の瞬間、落とされた足を中心にして硬い筈の廊下が水面上に出来る波紋が現れたと思ったら勢い良く広がっていき、それは一定の大きさを保ちつつ建物の輪郭を歪ませながら壁に限らず天井にまで移動していった。
遂には空間ごと巻き込んで行き、崩壊してしまった世界から落ちてしまう。
俺の身体は重力に負けて落下をしているにも拘らず、目の前に居るシグナムらしき人物は変わらずに立っている。
この場面を第3者が見る事が出来れば、スカイダイビング中と言われれば納得する体制と空気の抵抗を受けている人間の前で無風状態の所に立っているかの様に平然としている人間が居ると言う奇妙な光景が目撃できただろう。
下からの蒼い濁流に揉まれながらも、徐々に立っていた場所から落下していく。
必死で体勢を整えながらシグナム(?)に助けを求めるべく顔を向ければ視線に気が付いたのか、悲しさを秘めた顔で呟いた。
「……次―――糸口を見―――くれ」
周りを包んでいた蒼の流れは、いつの間にか黒い円柱に変わり勢いは強まるばかり。
最早、入り口は遠く、そこに居た知り合い、もしくはもっと親しい仲だったみたいな人物の顔は判断出来ない位だった。
自分の力ではどうしようもなく、ただ落ちるだけの状態が暫く続いた気がする。
いつの間にか気を失っていた様で、瞼から微かに感じる光で眼を覚ました。
自分が生きている事と地面の確かな感触に安堵してしまう。
そして何か重要な事を忘れてしまった喪失感に捕らわれていると声を掛けられた。
「あの、大丈夫ですか?」
「えっ?」
目の前に居た人物は、驚く事に―――
体験版終わり
はい、と言う訳で体験版のβバージョンでした。
こんな感じで徐々に登場人物の心を弄って行きますよ。
校正はしていないので可笑しな点は多々ありそうですが
後でちゃんと直すので、たぶん大丈夫です。
実は最初の長ったらしい説明がどうかなぁとか思ってるんで
そこら辺は大幅に削ったりしそうです。
何とか夏に入るまでには、遅くとも本編は書き終えていたい予定です。
まぁ私は自分で決めた締め切りを守れた試しは無いんですけどね。
こんな感じの作品でも「金を払って読んでやっても良いぜ」と言う方はお楽しみに!
実用的な物を目指します。
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