M×0の世界でズブリ、プロローグ(エロ無し
享年16歳。
それが前の人生だ。
1人寂しく病院のベッドの上で寝ていると意識が遠くなり、これは死んだなと自覚した途端に3本のローソクが立てられたケーキを前に祝われている状況へ一瞬で変わった。
あまりの事態にパニックで呆然としていると、両親らしき大人の男女2人は火を消す様に促してくる。
止まった思考で言われるがままに息を吹き掛ければ、本格的に誕生日会が始まった。
見える限りは自分を入れて3人しか居ないが、何の変哲も無い温かい家庭の雰囲気が溢れている。
母親からは手作りの服、父親からは幼児向けの玩具を貰い、体に釣られて自然と笑顔で拙い言葉の礼を言った。
その後も特に重大な事件などは起きず、前世の記憶がある分は手間の掛からない素直な子で育っていく。
小学校を無難に卒業し、中学校の卒業を近い内に迎えて進学する高校を択ぼうとした時、両親から進学先に付いて提案をされた。
「高校なら、聖校に入ってみないか?」
「聖校?」
「そう、聖凪山にある私立の聖凪高校だよ」
そんな、いかにも漫画に出てきそうなと考えて思考が止まった。
近場にあると言っても山の名前などには興味の欠片も無い筈なのに、どこか聞き覚えがある。
しかも、最近ではなく遥か過去、具体的には前世での記憶が疼く。
深く思い出していくと、引っかかる事柄があった。
漫画だ。
前世での入院生活では暇を持て余し過ぎて、生きている間に完結した作品は9割以上のストーリーを暗記出来ている自信があった。
生まれ変わり13年程のブランクはあるが、ある程度のストーリーと舞台になった土地の名前、登場人物の名前は今でも覚えている。
そして『聖凪高校』と言えば、最後はプリンの様に胸が揺れて打ち切られたとの印象が強い『M×0』の舞台だった筈。
「それって――」
魔法を学べる学校かと聞こうとして思い止まった。
あの学校は部外者に魔法の事を知られれば、記憶処理されると原作の場面を思い出したのだ。
両親からは魔法の事を一切聞いていないので、ここで言ってしまえば何故知っているのかと聞かれてしまうのは確実。
それに対する答えは『前世で読んだ漫画で知ってました』しかない。
魔法というファンタジー全開な物が存在しているとしても限度がある。
この両親なら息子を疑う様な事は無いと思うも、余計な心配を掛けるのは避けたいし何よりも面倒だ。
「どうしたの?」
突然言い淀んだ事に心配そうな顔で母親が聞いて来た。
どんな世界でも両親の偉大さは変わらないが、やはりそろそろ好き勝手をしたいとも思い始めた頃だ。
その為に心配は仕方ないとしても、疑心を持たれては不都合。
「……それってわざわざ山の上にある私立じゃなくても、近場の公立でも良いんじゃないの?」
遠回しに学費の心配をしている感じで言ってみるが、両親の気持ちは変わらない。
「たぶん、あの高校の方が楽しいと思うぞ」
「お母さん達も聖校に行ってたけど、通って良かったと思ってるわよ?」
「そうなんだ……」
前世では病弱だった所為で妄想の世界には頻繁に浸っていた。
そこへ転がり込んできた非現実の力を行使できる可能性を捨てられる筈も無く、第1志望校として受験する事となる。
しばらくして入学案内書が届き、両親が見つめる中で眺めていくと最後のページは……、白紙だった。
最後のページには『魔法が使えれば、どんな事をしたいか』と言う様な事が書いてある筈だが、聖凪高校の敷地内に入らないとその文面は現われない。
一通り目を通した後に案内書だけでは分からない事を両親に聞いたりして、面接の対策を立てていった。
更に月日が経ち、入試も問題なくクリアして遂に面接の日を迎える。
当たり前だが原作と同じ校舎へ入ってから入学案内書を確認すれば、白紙だったページには例の質問が浮かび上がってきていた。
しっかり見えるという事は俺にも問題無く魔法を使う素質があるらしい。
面接も無難に質問へ答え、最後は『魔法を使えたら』との質問をされる。
正直、今の段階では漠然と使いたいとしか思っていないので、魔法で何かをしたいとは考えていなかった。
とりあえずは無難に、その道を極めたいと凝り性と感じそうな回答をするだけに落ち着く。
面接官を勤めた教師達も、にこやかに頷く程度で残りの質問を聞いて来た後に隣の人間へと視線が移っていった。
特に目立つ事も無く、原作の騒ぎに巻き込まれる事も無く帰宅する。
そして、手元に届いたのが合格通知。
これからの楽しい人生を送る上での絶対条件をクリアした気分は最高の物だった。
少し前まで漠然としていた魔法に対して求める方向性も、今では具体的に決まっている。
それは性欲を発散する事。
思春期を迎えた体は性欲もしっかりと溜め込んでしまう様で、思考はもはや女の事ばかり。
前世では生きる事ですら手一杯だった所為で、初めて感じる性欲には最初は戸惑いを覚えた物だ。
尋常ではない欲求の溜まり具合に危機を感じて初のエロ本を買い、初の自慰を決行した時の快感は素晴らしかった。
自分の手ですら、これほど気持ち良いのなら女の体はどれ程の物かと期待は高まる。
何とかして手っ取り早く経験をしたいと思った時に頭を過ぎったのが、これから学ぶ事になった魔法。
原作を信じるのならば命を掛ける戦闘行為などが無い分、魔法的には平和その物。
特定の場所でしか使えないのも手伝って、争いがあっても喧嘩程度で終わっている。
特に学生の身分であれば、魔法を使う事に精一杯で害を成そうとする相手への対抗手段など考えもしないだろう。
原作を思い出しても防御の魔法を使っている生徒は、主人公だけだった様な気がする。
ともなれば、比較的簡単にエロイ目的を達成できそうだ。
何をするにしても、魔法を使いこなす事が前提だが……
家で自習出来ないので、学校での鍛錬が物を言う。
しかし、成績優秀と認識されてしまっては、色んな所から注目を浴びてしまうので動き難くなる。
出来るだけ平凡な生徒を演じつつ、魔法を高めていかなければならない。
多少不安だが、性欲に塗れた青春を送る為には必要な事だ。
気張って行こう。
次へ
それが前の人生だ。
1人寂しく病院のベッドの上で寝ていると意識が遠くなり、これは死んだなと自覚した途端に3本のローソクが立てられたケーキを前に祝われている状況へ一瞬で変わった。
あまりの事態にパニックで呆然としていると、両親らしき大人の男女2人は火を消す様に促してくる。
止まった思考で言われるがままに息を吹き掛ければ、本格的に誕生日会が始まった。
見える限りは自分を入れて3人しか居ないが、何の変哲も無い温かい家庭の雰囲気が溢れている。
母親からは手作りの服、父親からは幼児向けの玩具を貰い、体に釣られて自然と笑顔で拙い言葉の礼を言った。
その後も特に重大な事件などは起きず、前世の記憶がある分は手間の掛からない素直な子で育っていく。
小学校を無難に卒業し、中学校の卒業を近い内に迎えて進学する高校を択ぼうとした時、両親から進学先に付いて提案をされた。
「高校なら、聖校に入ってみないか?」
「聖校?」
「そう、聖凪山にある私立の聖凪高校だよ」
そんな、いかにも漫画に出てきそうなと考えて思考が止まった。
近場にあると言っても山の名前などには興味の欠片も無い筈なのに、どこか聞き覚えがある。
しかも、最近ではなく遥か過去、具体的には前世での記憶が疼く。
深く思い出していくと、引っかかる事柄があった。
漫画だ。
前世での入院生活では暇を持て余し過ぎて、生きている間に完結した作品は9割以上のストーリーを暗記出来ている自信があった。
生まれ変わり13年程のブランクはあるが、ある程度のストーリーと舞台になった土地の名前、登場人物の名前は今でも覚えている。
そして『聖凪高校』と言えば、最後はプリンの様に胸が揺れて打ち切られたとの印象が強い『M×0』の舞台だった筈。
「それって――」
魔法を学べる学校かと聞こうとして思い止まった。
あの学校は部外者に魔法の事を知られれば、記憶処理されると原作の場面を思い出したのだ。
両親からは魔法の事を一切聞いていないので、ここで言ってしまえば何故知っているのかと聞かれてしまうのは確実。
それに対する答えは『前世で読んだ漫画で知ってました』しかない。
魔法というファンタジー全開な物が存在しているとしても限度がある。
この両親なら息子を疑う様な事は無いと思うも、余計な心配を掛けるのは避けたいし何よりも面倒だ。
「どうしたの?」
突然言い淀んだ事に心配そうな顔で母親が聞いて来た。
どんな世界でも両親の偉大さは変わらないが、やはりそろそろ好き勝手をしたいとも思い始めた頃だ。
その為に心配は仕方ないとしても、疑心を持たれては不都合。
「……それってわざわざ山の上にある私立じゃなくても、近場の公立でも良いんじゃないの?」
遠回しに学費の心配をしている感じで言ってみるが、両親の気持ちは変わらない。
「たぶん、あの高校の方が楽しいと思うぞ」
「お母さん達も聖校に行ってたけど、通って良かったと思ってるわよ?」
「そうなんだ……」
前世では病弱だった所為で妄想の世界には頻繁に浸っていた。
そこへ転がり込んできた非現実の力を行使できる可能性を捨てられる筈も無く、第1志望校として受験する事となる。
しばらくして入学案内書が届き、両親が見つめる中で眺めていくと最後のページは……、白紙だった。
最後のページには『魔法が使えれば、どんな事をしたいか』と言う様な事が書いてある筈だが、聖凪高校の敷地内に入らないとその文面は現われない。
一通り目を通した後に案内書だけでは分からない事を両親に聞いたりして、面接の対策を立てていった。
更に月日が経ち、入試も問題なくクリアして遂に面接の日を迎える。
当たり前だが原作と同じ校舎へ入ってから入学案内書を確認すれば、白紙だったページには例の質問が浮かび上がってきていた。
しっかり見えるという事は俺にも問題無く魔法を使う素質があるらしい。
面接も無難に質問へ答え、最後は『魔法を使えたら』との質問をされる。
正直、今の段階では漠然と使いたいとしか思っていないので、魔法で何かをしたいとは考えていなかった。
とりあえずは無難に、その道を極めたいと凝り性と感じそうな回答をするだけに落ち着く。
面接官を勤めた教師達も、にこやかに頷く程度で残りの質問を聞いて来た後に隣の人間へと視線が移っていった。
特に目立つ事も無く、原作の騒ぎに巻き込まれる事も無く帰宅する。
そして、手元に届いたのが合格通知。
これからの楽しい人生を送る上での絶対条件をクリアした気分は最高の物だった。
少し前まで漠然としていた魔法に対して求める方向性も、今では具体的に決まっている。
それは性欲を発散する事。
思春期を迎えた体は性欲もしっかりと溜め込んでしまう様で、思考はもはや女の事ばかり。
前世では生きる事ですら手一杯だった所為で、初めて感じる性欲には最初は戸惑いを覚えた物だ。
尋常ではない欲求の溜まり具合に危機を感じて初のエロ本を買い、初の自慰を決行した時の快感は素晴らしかった。
自分の手ですら、これほど気持ち良いのなら女の体はどれ程の物かと期待は高まる。
何とかして手っ取り早く経験をしたいと思った時に頭を過ぎったのが、これから学ぶ事になった魔法。
原作を信じるのならば命を掛ける戦闘行為などが無い分、魔法的には平和その物。
特定の場所でしか使えないのも手伝って、争いがあっても喧嘩程度で終わっている。
特に学生の身分であれば、魔法を使う事に精一杯で害を成そうとする相手への対抗手段など考えもしないだろう。
原作を思い出しても防御の魔法を使っている生徒は、主人公だけだった様な気がする。
ともなれば、比較的簡単にエロイ目的を達成できそうだ。
何をするにしても、魔法を使いこなす事が前提だが……
家で自習出来ないので、学校での鍛錬が物を言う。
しかし、成績優秀と認識されてしまっては、色んな所から注目を浴びてしまうので動き難くなる。
出来るだけ平凡な生徒を演じつつ、魔法を高めていかなければならない。
多少不安だが、性欲に塗れた青春を送る為には必要な事だ。
気張って行こう。
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